2021 Fiscal Year Annual Research Report
SiC金型切削とナノ構造形成およびグラフェン成膜による高機能ガラス光学素子成形
Project/Area Number |
21H01230
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガラス成形 / 金型加工 / 超精密切削 / グラフェン成膜 / 微細構造表面 / 超硬合金 / SiC / レンズアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ツールサーボ援用分割切削を用いて超硬合金(WC)や炭化ケイ素(SiC)金型の超精密加工を行い,切削面へフェムト秒レーザを照射することによって表面ナノ周期構造(LIPSS)を形成させる.さらに,LIPSS表面へグラフェン膜をコーティングすることによって高精度・長寿命かつ離型性の優れる金型を製作する.そして,製作した金型を用いてガラスプレス成形を行い,ガラス製マイクロレンズアレイや各種の微細構造表面の高精度創成を可能にすることを研究目的としている.令和3年度では,ツールサーボ援用分割切削法によるWC,SiCのマイクロレンズアレイ金型の加工実験を行い,加工特性の解明を行った.具体的には,以下の内容を実施した.(1)XZB3軸同時制御超精密加工機のレトロフィットを行い,ナノメートルの分解能を安定して維持して加工できるように制御系を改良し,またツールサーボ制御機能を搭載させるための加工機改造も行った.(2) 加工機の追従誤差を低減させるためのツールサーボ制御プログラムの開発とツールパスの最適化を行った.(3)改造後の加工装置とプログラムを用いてWCとSiCを基板とするマイクロレンズアレイ金型の切削実験を行い,平滑な加工面を得るための延性モード切削の加工パラメータ設定や基本的な加工特性を調査した.(4)硬脆材料の切削では工具摩耗が顕著であったため,ツールサーボ機構での工具と工作物の間欠接触により刃先の冷却効率を向上させ,工具摩耗を抑制するための加工条件を探索した.これらの基礎データ取得は,今後のマイクロレンズアレイ金型表面へのLIPSS形成にとって重要な準備となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるためには,まずツールサーボ制御が可能な超精密加工機が必要な条件であり,令和3年度で行った超精密加工機のレトロフィット制御系改造により,ナノメートルの分解能を維持しながらツールサーボ制御が可能となった.コロナ禍による半導体供給不足のためレトロフィット制御系改造が予定よりやや遅れての実施となったが,工作機械メーカーとの協業によって無事に完成できた.加工機の追従誤差を低減させるためのツールサーボ制御プログラムの開発とツールパスの最適化については予定通り進展していた.そして,改造後の加工装置とプログラムを用いてWCとSiC基板へのマイクロレンズアレイ金型の試作まで行い,平滑な加工面を得ることを確認でき,本研究の実現可能性について概ね確認できた.一方で,新たな問題として硬脆材料の切削における工具摩耗が顕著であったことも確認した.今後,ツールサーボ機構での工具と工作物の間欠接触を生かすことで刃先の冷却効率を向上させ,工具摩耗を抑制するための加工条件を解明しつつ,金型に要求される形状精度と表面粗さを達成していく.以上を総合的に考え,本プロジェクトは概ね順調に進んでいると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,ツールサーボ機構での工具と工作物の間欠接触を生かすことで刃先の冷却効率を向上させ,工具摩耗を抑制するための加工条件を解明しつつ,金型に要求される形状精度と表面粗さを達成していく.その後,金型表面へのLIPSS形成とグラフェン成膜を行い,その形成メカニズムや成膜特性の究明を行う予定である.
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Research Products
(3 results)