2021 Fiscal Year Annual Research Report
多機能高送達性ナノ粒子シングルステップ合成を実現する超臨界プラズマ流の創成と制御
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21H01249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
茂田 正哉 東北大学, 工学研究科, 教授 (30431521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (20243272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超臨界プラズマという特異物質相の流れを利用して、多機能高送達性ナノ粒子の生成量・サイズ・組成を制御しながらシングルステップで大量合成するという新手法を流体工学的立場から確立することを目的としている。2021年度は、アークプラズマが非軸対称形状を有し、かつ傾斜している場合でも,プラズマ内部の温度を計測できる非対称Abel逆変換画像分光法を開発した。また、希ガス雰囲気環境でのアークプラズマ生成時にタングステン電極周囲に発生する発光元素の同定を光学的手法を用いて行い、電極近傍からアークプラズマ内外にわたる金属イオンおよび励起原子の分布と輸送現象を明らかにした。さらに、交流印加時に電極表面が溶融し、その一部から溶融金属液滴が飛散する現象を支配している因子を実験的に解明することを試みた。一方で、数値シミュレーションに基づいた理論的研究も行った。研究代表者が独自に構築してきた二元系核生成・共凝縮,異組成粒子間凝集プロセスをエアロゾル動力学的に扱うことのできる数理モデル・計算アルゴリズムを用いて、飽和蒸気圧が同程度または大きく異なる金属同士の合金ナノ粒子形成過程の数値予測と解析に成功した。また、シリコン蒸気が均一核生成・不均一凝縮・粒子間凝集を経てナノ粒子を集団形成する過程について熱化学に基づく詳細な数値計算を行い、温度低下率がナノ粒子群の生成粒子数・粒子サイズ・サイズ分布の広がりに与える影響を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速画像分光技術を利用したプラズマ種の多成分計測や温度計測、溶融電極挙動の可視化法の開発が進んでいる。また、ナノ粒子形成・輸送やプラズマ流動に関する理論的研究の方もおおむね順調に進んでいると言える
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、超臨界環境下でのプラズマの安定維持を目指した電極部の改良を行う。また、パルス的な高速放電にともなうプラズマ相の温度を計測するために温度計測法も改良する。並行してシュリーレン計測システムを適用して密度場を計測することで流動場の構造を明らかにする。合成物については、X線回折(XRD)を用いた組成分析により物質の同定と特性評価および電子顕微鏡を用いた粒径・形状観察を行う。同時に理論および数値解析的な研究アプローチも継続し、超臨界プラズマ流動場におけるナノ粒子の形成メカニズムを明らかにするために数値計算モデルの拡張を行う。超臨界状態のプラズマ相を表現できる数理モデルを構築するために解離性ガス種の物性値を原子・分子スケールの物理化学から導き、マクロスケールの流体現象に組み込むことでマルチスケール・マルチフィジックスモデルの構築を行っていく。
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