2021 Fiscal Year Annual Research Report
Low Mosaicity Crystallization of Proteins by Temporal and Spatial Active-Control of Mass Transfer
| Project/Area Number |
21H01257
|
|---|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
小宮 敦樹 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (60371142)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 雄貴 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00885874)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | タンパク質 / 物質拡散 / 結晶成長 / 低モザイシティ / 有孔透過膜 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では，タンパク質の特異性を利用して透過膜を介した液相内の物質輸送現象を能動制御し，タンパク質の低モザイシティ結晶化の実現を目指すことを目的としている．研究初年度の目標は，申請書に記載したように「既存の測定系を用い，透過膜を用いた物質流束測定実験を行う」とした．既有の干渉計に改良を施し，光学系を付加することで視野が0.5mm×0.5mmの顕微干渉計を製作した．また，これまでの研究で問題となっていた試料溶液の液漏れ問題を解決するために，ネジ機構を採用した特殊観察セルを製作し，透過膜近傍の過渡濃度分布をサブミリスケール（<100μm）で正確に捉えることに成功した．
マイクロチャネル有孔透過膜のデザインと製作については，これまでの研究（科学研究費補助金：基盤研究（B）17H03181）で明らかにしてきた知見を利用し，規則的に円柱状マイクロ孔が配置された有孔透過膜を，本学マイクロ・ナノマシニング研究教育センターを利用して製作し，実験を行った．マイクロ孔直径は50～350μmとした．透過膜は複数製作し，孔径をパラメータにしているが，膜の総開口面積は等しくし，マイクロ孔のパターニングと孔径が物質透過量に及ぼす影響について評価した．その結果，総開口面積が等しいにも関わらず，大孔径で少数のパターニングの場合は膜透過量が少なく，反対に小孔径ではあるが多数の細孔を有する膜では透過量が多くなる傾向が得られた．この傾向は数値シミュレーションでも再現されており，物質透過量の可制御性が確認された．本研究成果は現在国際雑誌に投稿すべく，共同研究者と執筆をしている．また，2つの国際会議においてキーノート講演を行うことで，研究成果を世界的に周知した．次年度以降は，透過量の孔径依存性について解析的に研究を進めることとした．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究計画に照らし合わせて，本年度は当初の計画以上に進展していると判断することができる．本年度は目標として「既存の測定系を用い，透過膜を用いた物質流束測定実験を行う」を掲げ，サブテーマとして「可視化装置の改良」「有孔透過膜のデザイン・製作」および「拡散実験による膜透過量の定量評価」としたが，これら全てが計画以上に進展した．このうち，膜透過量の定量評価においては，製作した透過膜群を用いてタンパク質物質拡散の可視化実験をパラメトリックに行うことができ，透過膜近傍における物質透過量を定量に評価した．また有孔透過膜の仕様と実際の物質透過量の関係をデータベース化することも行い，次年度検討している透過量の孔径依存性評価につながるデータの取得ができた．本結果は本年度並行して進めてきた数値シミュレーションによる結果とも一致し，数値計算援用により依存性評価がより確度の高いものになることが期待できる．このような研究の進展が認められたのは，これまで問題となっていた試料溶液の漏れの問題が完全に解決されたことによると考えられる．観察セルにネジ機構デザインを採用したことで，本年度の研究は当初の計画以上に進展した．以上をまとめると，次年度の研究につながる研究成果の取得であったと言えることができ，本年度の進捗状況は「当初の計画以上に進展している」と判断できる．
|
| Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究の進展が当初の計画以上に進展したことから，次年度以降も研究計画は維持し，かつ本年度の成果で新たに考慮しなければならない点として生じた「透過量の孔径依存性評価」についても解析的な観点から進めていくこととする．次年度は特に，海外研究協力者との連携を密にし，新たな有孔透過膜の製作を行っていく．これまではオンライン会議を軸に間欠的な議論を紡ぎ合わせての研究推進であったが，次年度以降はオンライン会議とオンサイトの会議を併用し，種結晶周りに等濃度場を形成することができる有孔透過膜のデザインの検討を集中的に行う．材料工学の研究室へのサイトビジットを行い，タンパク質物質輸送制御に必要な条件と，それを解決する素材の提供をスムーズに行うこととする．また，新たに考慮しなければならない点として生じた課題については，数値シミュレーションの援用が可能であることが本年度の研究で明らかになったことから，数値シミュレーションに重心を移動して進めていくこととする．
|
Research Products
(6 results)
