2021 Fiscal Year Annual Research Report
重心動揺検査を刷新するモデルベース特性パラメータの構築
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21H01270
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
吉田 勝俊 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20282379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山仲 芳和 宇都宮大学, 工学部, 助教 (00804238)
嶋脇 聡 宇都宮大学, 工学部, 教授 (10344904)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重心動揺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,応募者らの独自技術により,重心動揺検査の方法論を,世界に先駆けて刷新するものである.そのために,重心動揺データの確率密度関数を記述するランダム制御系モデルを提案する.これと重心動揺データの実測値に基づき,提案モデルのシステムパラメータを同定することを目的とする. 本年度は,第1の成果として,フォースプレート上で静止立位を保つ被検者の足圧中心を測定する重心動揺測定システムの構築に成功した.これを用いた予備実験を繰り返すことで,パラメータ同定に供する確率密度関数を適切に得るための,各種条件の調整に成功した. 第2の成果として,予備実験で得られた実験データから,確率密度関数を実際に構成し,その基本的な特徴を明らかにした.得られた確率密度関数を詳細に観察したところ,被検者によって,確率密度関数が単峰形(ピークが1つ)を示す場合,双峰形(ピークが2つ)を示す場合,もしくはこれらが複合する場合があった.これは,提案予定のランダム制御系モデルの具体的構造を示唆する重要な結果である.具体的には,提案モデルには双安定型の非線形性が必要であり,さらに,この双安定型モデルには,非対称性の記述能力が求められることが分かった. 第3の成果として,パラメータ同定の計算量を大幅に削減する独自技術(確率システムのフォッカープランク方程式の残差を最小化するパラメータ同定法)を拡張し,非線形システムに対する有効性を検証し,これに成功した.これは,双峰型の実験データを同定する際に,極めて有効な手法となる.この成果は,査読付き国際会議論文として採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度当初計画は,重心動揺実験による確率密度関数の測定と,これを再現するランダム制御系モデルの構築であった. まず,重心動揺実験による確率密度関数の測定については,計画通り,静止立位にある被検者の足圧中心をフォースプレートで測定するシステムが完成した.さらに,これを用いた予備実験を実施した.実際の実験データに基づいて,確率密度関数の構成条件を検討し,今後実施するパラメータ同定に使用可能な確率密度関数データを取得するに至った. また,ランダム制御系モデルの構築については,予備実験結果から,非線形モデルの必要性が明らかになった.これは,被検者によって,確率密度関数が双峰形となる場合があるためで,これを記述するモデルには,双安定型の非線形性が必要となる. この非線形性に対応可能なパラメータ同定技術として,申請者らが提案中の独自技術(フォッカープランク方程式の残差を最小化)の非線形拡張に挑戦し,これに成功した. 以上,当初計画の初期段階を実現したもの, 当初計画にない新たな取り組みを総合的に判断すると,本研究の進捗は,おおむね順調に進展していると思われる.独自技術の非線形拡張の成果は,査読付き国際会議論文として発表・採択済みである.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度以降は,当初計画に従い,ランダム制御系モデルの構築に取り組むが,これには双安定型の非線形性を導入する.また,当初計画に従い,モデルの倒れ角から,足圧中心を求める運動学的方程式を策定・導出する.
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Research Products
(1 results)