2021 Fiscal Year Annual Research Report
Transdermal drug delivery system of biomacromolecules by multiple ultrasonic irradiation
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21H01272
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉科 佑太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40801535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 貴大 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00734732)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波 / ナノ薬剤 / ソノフォレシス / DDS / 生体高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体高分子医薬は安全で薬効が高いことから従来の低分子薬剤に代わる薬剤として注目されているが,その大きさや表面特性から体内へ浸潤させることは困難である.この生体高分子を投与する方法として,皮膚を介して体内深部へ拡散できる超音波による経皮浸潤効果(ソノフォレシ ス)が期待されている.しかし,従来では効率的な超音波の照射方法は確立されておらず,投与できる薬剤のサイズは限定されていた.そこで,本研究では複数の振動子を用いて超音波の周波数を重畳化することで,これまで経皮での浸潤投与が困難であった生体高分子(キトサンによりカプセル化したbFGF)を効率よく送達する方法を構築することを研究の目的とした. 本年度の研究では,ランジュバン型振動子を用いてkHz帯の超音波を照射可能な装置およびPZT素子の厚さ方向の共振を用いたMHz帯の超音波照射装置を製作した.ランジュバン型振動子は中心部分を中空として薬剤を投与可能な構造を構築した.また,PZT素子は折返し電極を用いて片側に電極を集積させて,電極プローブを押しつけることで通電し,PZT素子の振動を阻害しない装置を製作した. また,光ファイバ型音圧プローブを製作し,ランジュバン型振動子やPZT素子から照射される超音波の音圧の測定を試みた.kHz帯の超音波については,従来の小型プローブと同等の音圧の測定が可能であることを確かめた.加えて,音響理論により測定した粒子速度から波動関数の行列を用いて音圧を計算した.その結果,測定値と理論での計算の音圧値は同じオーダーの値となり,その妥当性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,本研究目的を達成するために必要な基礎的な知見,特に工学的なデバイスの構築を主に実施した.また,照射した超音波の音圧を測定するためのシステムの構築も行い,基礎的なシステムは本年度の研究により完成したといえる.これは当初想定していた通りの研究実施計画であり,概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,使用するナノ粒子について検討する.すなわち,実際の薬剤に近い生体高分子を体内に投与することを目的として,例えば,生体高分子の一部であるbFGFなどを用いることで,創傷治癒などに応用が可能な薬剤を決定する.その際,定性的に薬剤を投与できる深度の評価方法および定量的に投与量を測定する評価方法を確立し,検討を行う.本年度に照射デバイスや測定システムを構築し,次に投与する生体高分子を決定する.これをもとに最終的には超音波を重畳化して,皮膚に投与することで,本研究の目的を達成する.
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