2021 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical investigation of transport transition in biological membrane due to charge and electric field induced by discharge plasma
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21H01317
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内田 諭 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (90305417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 昭紀 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70335090)
立花 孝介 大分大学, 理工学部, 助教 (10827314)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電荷 / 電界 / プラズマ医療 / 分子動力学法 / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大気圧プラズマ照射による医療応用が進展し、がん治療、止血処置や遺伝子導入における有用な成果が得られている。これらは、主に放電由来の化学活性種が外的因子となり、細胞を刺激して生じることが実験的に示されている。一方でプラズマが細胞近傍に誘起する電荷や電界は、表面帯電や膜電位変動を介して細胞膜の物質輸送へ直接的に影響を与えうるが、その機構は十分に理解されていない。 本研究の目的は、プラズマが誘起する電荷および電界が細胞膜の物質輸送機能に対してどのような影響を与えるか、その物理的特性を明確にするため、プラズマ・希薄水層・細胞膜の各階層を数値的にモデル化して、界面パラメータを介した統合を行うとともに、電流電圧条件を精査することで、膜帯電および膜電位に対する細胞電気定数ならびに膜輸送係数の変移を定量化することである。具体的には、(1)大気圧グロー放電照射により生じる細胞膜への誘起電荷および電界を導出する。(2)希薄水層上の気液界面における荷電粒子分布を分子動力学的に解析する。(3)界面の電気二重層を含む帯電細胞膜をモデル化し、細胞電気定数の変動を検証する。(4)3階層間における誘起電荷量ならびに電界分布を整合したモデルを構築して、電界印加時における細胞膜の膜輸送係数を定量化する。(5)実験結果と比較して、細胞膜における浸透機構および浸透効率を考察する。 上記の目的を達成するため、プラズマ・希薄水層・細胞膜を数値モデル化し、段階的な計算工程にて研究を行う必要がある。そこで、本年度は、プラズマ・希薄水層・細胞膜における電荷輸送や電界分布を解析するための基本モデルを構築した。実際に、① 水電極大気圧プラズマの構造解析、② 気液界面における電荷流入の特性評価、③ 電気二重層を含む細胞膜モデルの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①「水電極大気圧プラズマの構造解析」については、He/N2グロー放電の電流電圧特性や電荷密度分布を1次元流体近似シミュレーションにより導出した。また、片側を導電性誘電体である水電極で仮定した細胞照射モデルに拡張した。さらに、気液層全体の電界分布を特定するとともに、水電極への電荷流入フラックスおよび平均入射エネルギーを概算評価した。 ②「気液界面における電荷流入の特性評価」については、 上記項目①で得られたフラックスと平均エネルギーから、入射時間間隔および入射エネルギー分布を算出し、気液界面における電荷(主に陽イオン(He+)を想定)の入射挙動を古典分子動力学法(古典MD)により模擬した。統計量の取れる複数回の試行から水層内の電荷濃度分布を推定した。 ③「電気二重層を含む細胞膜モデルの構築」については、人体細胞膜の主要構成分子であるフォスファチジルコリン(PC)を対象とし、脂質二重構造の膜分子モデルを構築した。また、膜近傍水層に存在するイオン(Na+, K+, Cl-)による拡散電気二重層の分布状態を分子動力学法を用いて模擬した。さらに、誘導電界重畳時における過酸化水素の膜中自由エネルギー変化を定量的に考察した。 以上の成果は、国内外の学術会議において適宜報告しており、研究はおおむね適切かつ順調に行われていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、前年度の基本モデルで得られた電荷・電界パラメータを介して、統合モデルへの拡張を行う。 ① 誘起膜電位の等価回路検証(担当:小田):生体細胞の基本部位(細胞核、核膜、細胞質、細胞膜)を誘電率および導電率で近似した等価回路モデルを構築する。前年度の項目①で得られた電流電圧特性および水層近傍での境界条件を用い、細胞部位における誘起電界分布を導出する。 ② 電界下における希薄水層内の電荷移動解析(担当:立花):希薄水層への電界印加を行い、水層下部における細胞膜境界面への電荷移動を定量化する。初期位置として、前年度の項目②で得られたイオンの濃度分布を考慮したランダム配置を行い、複数軌跡の統計解析から液中ドリフト速度および拡散係数を導出して界面近傍の蓄積電荷量を推定する。 ③ 帯電膜における電気定数変移の考察(担当:内田):前年度の項目③で構築した細胞膜モデルに対して、膜界面に滞在する蓄積電荷を付与した帯電膜モデルへ拡張する。電気二重層との相互作用を古典MDで模擬するとともに、細胞膜自身における電気定数(分極、緩和時間、誘電率)を導出して、帯電による変移特性を明らかにする。
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