2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly sensitive terahertz micro-TAS and its applications to the nanobioanalysis
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21H01392
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芹田 和則 大阪大学, レーザー科学研究所, その他 (00748014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 微量分析 / マイクロタス / メタマテリアル / 非線形光学結晶 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ピコモルオーダーの溶液量でフェムトモルオーダーの検出感度を誇るコンパクトなテラヘルツバイオチップの機能性の向上と、生体関連試料の微量分析を行った。チップはGaAs製で、テラヘルツ点光源と5個のメタアトム(メタマテリアルの基本素子)の直列アレイから構成されている。そのセンサー領域(メタアトムアレイ領域)は髪の毛断面5個分相当である。メタアトム構造には微小なキャビティギャップを有するストリップライン(I-design)構造を採用した。このメタアトムアレイの1つを局所テラヘルツ点光源で励起すると、パーセル効果に基づく、ギャップ領域での顕著な電界閉じ込めが起こり、これが隣接するメタアトムにも波及していくことが分かった。これにより、これまでのFano共振型のメタアトムアレイ(5×5個のメタアトムを使用)と比較して感度が2倍以上向上することが分かった。したがって感度向上とコンパクト化を同時に達成することに成功した。これにマイクロ流路を作製することで、流路内をフローする溶液中のイオン、糖、アルコール物質を微量センシングできた。チップ性能としても従来のFano共振チップと比較して1桁の向上を確認した。これをテラヘルツマイクロタスとして展開している。 機能性の向上については、以下の点で進展があった。夾雑物中からの選択的な溶質センシングは、シンプルな構成では難しいことがわかった。この解決に向けて、電気泳動技術を取り入れることで混合溶液中に含まれる溶質成分の高感度かつラベルフリーな分離分析ができることが分かった。また、これとは別に、当初から行っていた透過測定よりも、反射測定の方がより効率的に分析ができることが分かってきた。一方、生体関連試料の微量分析では主にサンプルのスペクトルからの評価を行っている。一部の細胞サンプルとDNAサンプルにおいてそれらの変性・変異を示唆する興味深い変化が観測され、慎重に計測と分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本格的なテラヘルツマイクロタス化に向けて、周辺技術を着実に整備できている。生体関連試料の化学反応や指紋定量は、細胞やDNAサンプルにおいて、それぞれのサンプルの特性にかかわる特異な変化を、微小ではあるが観測することができている。以上の点からおおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
生体関連試料の化学反応や指紋定量は、引き続きデータの再現性チェックと計測の高感度化(メタアトムデザインの再設計)を取り入れ、慎重に分析を行っていく。データ収集と周辺計測基盤が整備でき次第、本格的なテラヘルツマイクロタスとしてチップ化する。
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