2022 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of large tunnel magnetocapacitance effect and elucidation of its mechanism
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21H01397
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
海住 英生 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70396323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
介川 裕章 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 主幹研究員 (30462518)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピントロニクス / キャパシタンス / 交流インピーダンス特性 / 表面・界面物性 / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場によりキャパシタンス(=電気容量)が変化する磁気キャパシタンス(MC)効果は、高感度磁気センサ、省エネメモリ、大容量蓄電材料への応用が期待されていることから、国内外で大きな注目を集めている。MC効果は時間反転対称性と空間反転対称性が破れている系で観測されることから基礎物理学の観点からも興味深い。これまでにMC効果はマルチフェロイック材料、スピントロニクスデバイス、磁気スーパーキャパシタなど、様々な物質・材料・デバイスにおいて発見されてきた。最近では、有機ヘテロ接合、グラフェンベース2次元材料、3次元トポロジカル絶縁体などにおいても観測されている。本研究では、スピントロニクスデバイスにおける磁気トンネル接合(MTJ)に注目し、巨大なトンネル磁気キャパシタンス(TMC)効果の発現とそのメカニズム解明を目指す。 MTJは2層の磁性層の間に極薄の絶縁層が挟まれた構造を有する。当該年度では、磁性層としてFeを用い、絶縁層としてMgAlOを用いたFe/MgAlO/FeベースのMTJを作製し、磁場中交流4端子法によりTMC効果の周波数特性、及び電圧依存性を調べた。その結果、これまで報告されている中で最も大きい426%のTMC比の観測に成功した。これらの実験結果はデバイ・フレーリッヒ模型、シグモイド関数を取り入れたジャン理論、2次関数放物線バリア近似、スピン依存ドリフト拡散模型を用いた理論計算により定量的に説明することができた。本成果はシュプリンガー・ネイチャーグループのScientific Reportsに掲載された。また、プレスリリースを行い、日本経済新聞などのメディアにて報じられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を推進することにより、Fe/MgAlO/FeベースのMTJにおいてこれまでで最大の426%のTMC比の観測にはじめて成功した。また、実験結果は拡張デバイ・フレーリッヒ模型により定量的に説明できることがわかった。これらの結果は研究実施計画に従って得られた研究成果である。このような事由から本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において得られた学術的知見に基づき、更なるTMC比の向上を目指す。計算によると、高スピン分極率を有する磁性層を用いることでTMC比は向上する。高スピン分極率を実現するためには、磁性層の検討のみならず、格子整合性の優れた磁性層/絶縁層界面構造の形成が重要となる。また、MTJ素子に直流電圧を印加するとTMC比が増大することも明らかになっている。今後は、格子整合性の優れた磁性層/絶縁層界面構造を検討すると同時に、TMC比の電圧依存性、及び周波数特性を詳細に調べることで、従来値を凌駕する巨大なTMC比の達成、並びに、そのメカニズム解明を目指す。
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Research Products
(16 results)