2022 Fiscal Year Annual Research Report
Computational Mesoscale Design of Cementitious Materials
Project/Area Number |
21H01403
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 元寛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (30821970)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | メタマテリアル / セメント系材料 / 3Dプリンティング / ジェネレーティブデザイン / メソスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、複雑な内部構造を有するセメント硬化体の作製技術の開発を行った。比エネルギー吸収を高められる内部構造を、2021年度に開発したメソスケールデザイン手法を用いて設計した。その複雑な内部構造をセメント系材料で実現するため、①樹脂の3Dプリンタで作製した型枠を用いた方法と②セメント系材料の3Dプリンティング技術による直接造形の両者を試みた。前者では、水溶性樹脂のフィラメントや低温フィラメントを用いることで脱型を容易にし、複雑な内部構造を高精度かつ迅速に作製可能にした。作製した供試体を力学試験に供し、設計で意図したエネルギー吸収の向上傾向が見られることも確認した。一方、供試体の破壊形態については、当初の想定に反し、力学試験の境界条件が結果に及ぼす影響が大きく、より大型の供試体を用いた検証実験が不可欠であることが判明した。そこで、②において、国内の3Dコンクリートプリンティング事業者と連携し、大型3Dプリンタを用いた供試体の造形を行った。作製した大型供試体の実験結果から、積層されたモルタルフィラメントの界面が弱部となる場合、設計とは異なる挙動になりうることが明らかとなった。これらの成果は、2件の国際学会にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹脂の3Dプリンタで作製した型枠を用いた方法については、当初の予定通り、複雑な内部構造の高精度かつ迅速な製作を可能にした。また、作製した供試体の力学試験から、載荷の際の境界条件が構造体の破壊形態に及ぼす影響について、新たな知見を得ることができた。セメント系材料の3Dプリンティング技術による直接造形については、国内の3Dコンクリートプリンティング事業者と連携することで、大型3Dプリンタを用いた供試体の造形を可能にした。ただし、当該3Dプリンタでは繊維含有量の高いモルタルを吐出することが現状難しく、材料側のさらなる改良が必要であることも判明した。これらの知見は2023年度に予定している「メソスケールデザイン手法と作製技術の改良」に活かすことができる。以上を総合的に勘案し、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、大型メタマテリアル構造体の作製および力学試験を継続し、得られた知見をフィードバックすることで、メソスケールデザイン手法と構造体作製技術の改良を行う。材料に関する改善策として、フレッシュモルタルのチキソ性を高める混和剤・混和材を用いることで、高繊維含有量でも優れた吐出性・積層性を獲得できるようにする。モルタルフィラメント界面がメタマテリアルの巨視的な構造性能に及ぼす影響については、界面の力学特性をモデル化して数値解析手法に統合することで、的確な評価を可能にする。
|