2022 Fiscal Year Annual Research Report
Accurate evaluation of concrete pore structure by inverse analysis and its application for advanced durability estimation and inspection
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21H01404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 雄也 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40624531)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コンクリート / 空隙構造 / 水銀圧入法 / 逆解析 / 掘削粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施者の研究室では、コンクリート構造物に与える損傷を最小限にしつつ、強度や耐久性などを評価する手法について研究しているが、昨年度までに得られた結果を活用して、この手法の改良を実施した。供試体から得られた粉体に対して、水銀圧入法により空隙構造を分析した結果、昨年度に開発した水銀圧入法の逆解析法を、粉体でない供試体に適用した場合と同様の結果が得られた。水銀圧入法による粉体の空隙構造の分析においてはインクボトル効果が除去されることが知られているが、逆解析によってもインクボトル効果が除去されていることを示す結果である。この結果に基づいて、まずはセメントペーストに対して掘削粉中の空隙と、強度及びスケーリング抵抗性との関係を検討した結果、両者の間には良好な相関が確認された。このことは、掘削粉のような小さな粒子中にももとの硬化体の空隙情報が温存されていること、掘削粉を採取して水銀圧入法で分析することで、コンクリートの強度や耐久性などの評価が可能であることを示す結果である。特に強度については10-500nmの空隙量と相関が高かった。この空隙範囲は、既往の研究において強度に支配的な役割を果たすことが知られている空隙径と一致する。スケーリング抵抗性については40-500nmの空隙量との関係をプロットすると、空隙量0.3ml/gを境にして抵抗性が大きく変化することが確認された。例えばこの値を基準値としてスケーリング抵抗性の合否判定を行うなどの活用が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水銀圧入法により得られた空隙構造に対して逆解析を適用することで、適切にインクボトル効果が除去されていることを、掘削粉の分析により裏付けることができた。また、掘削粉を分析することでセメント硬化体の強度や耐久性の評価が可能であることを示す結果が得られ、本研究で得られた知見を活かして実際のコンクリート品質の活用に適用する道筋をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
掘削粉によるセメント評価体品質の適用対象を、モルタルやコンクリートに拡大し、これらの強度、耐久性を掉尾破壊で評価することを試みる。また、空隙構造の分析結果に基づいて様々な耐久性を評価するため、数値解析プラットフォームの構築を進める。これにより、気体やイオンの拡散や液状水浸潤を、水銀圧入法で得られた結果に基づいてシミュレーションすることを可能にする。
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