2022 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートの環境影響評価における前提条件のあり方
Project/Area Number |
21H01409
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 研至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90224716)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コンクリート / 環境影響評価 / CO2排出 / 資源循環 / 混和材 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究においては,高炉スラグを産出する鉄鋼産業における製品を鋼材,高炉スラグ,製鋼スラグに分割して,配分方法による環境負荷の相違を検討した.今年度は,鉄鋼産業における製品の分割をより細分化し,転炉鋼,電気炉鋼,高炉スラグ,転炉系スラグ,電気炉系スラグとすることで,それぞれの共製品に対してより精度の高い環境負荷の配分を行うことを試みた.配分方法には昨年度と同様に,生産量に応じて配分する重量配分,販売価格に応じて配分するコスト配分の二つの手法を用いた.その結果,重量配分を行った場合には,高炉スラグに対する環境負荷の配分率が21.2%(転炉鋼が69.7%),コスト配分を行った場合には,高炉スラグに対する環境負荷の配分率が2.0%(転炉鋼が77.1%)となり.重量配分では昨年度よりもやや高めの数値に,コスト配分では昨年度よりも低めの数値となった.昨年度と今年度において,製品の分割方法を修正しても配分率の数値に大きな相違は見られなかったことから,算出方法に大きな誤りはないものと判断している.しかし,インベントリのインプット,アウトプットデータをもれなく網羅しているかは,今後も精査を必要とする.今年度の結果を用いて,第3版日本版被害算定型影響評価手法を用いて,ポルトランドセメントと高炉セメントの環境影響を比較した.まず,高炉セメントにおける製品の分割方法の相違が環境影響評価結果に及ぼす影響を検討したところ,昨年度の結果よりも重量配分において約26%,コスト配分において約7%,評価値の絶対値は大きくなっており,環境影響の包括的な評価に当たっては,詳細なインプット,アウトプットデータの入手が不可欠であることが改めて示された.ポルトランドセメントと高炉セメントの比較では,昨年度と同様の結果が得られ,高炉スラグに対して環境影響を重量配分すると,評価値が大きく低下することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査,ヒアリング調査等を通じて,インベントリデータの情報収集等が順調に進行しており,研究遂行上の課題点等は認められるものの,研究全般としてはおおむね順調に進展しているものと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
代表的な混和材である高炉スラグ,フライアッシュを対象として個別に実施してきた検討内容を総合し,さらに,セメントも含めてそれぞれの関連産業はマテリアルフローにおいて相互に密接に関係していることから,それらの相互作用等も勘案して,研究成果の取りまとめへ進めていく予定である.
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