2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the relationship between visual inspection results and remaining performance of existing civil FRP structures
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21H01419
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北根 安雄 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10444415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 国太郎 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40467452)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FRP / 劣化 / 残存性能 / 外観評価 / 非破壊試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,(1)FRPの変状,非破壊検査,補修に関する文献調査,(2)既設土木FRP構造物の実態調査,(3)FRP歩道橋床版の外観調査・非破壊検査と残存性能評価を実施した. まず,文献調査を実施し,FRPの変状を分類した.機械的な変状とそれ以外に分類し,機械的な変状には,割れ,圧壊,剥離,接着剤・樹脂の養生不足,へこみ,空隙,過度な変形,ボルト接合部のゆるみや腐食などを,それ以外として,汚れ,かび,変色,光沢の消失,繊維の露出などを分類した.非破壊検査については,これまでにFRPの欠陥検出や健全度評価に利用されたものは,非常に多岐にわたるが,調査の結果,本研究では,打音検査,超音波検査,透水試験などを実際に使用することとした. 既設土木FRP構造物の実態調査は,コロナの影響で,多くの構造物の調査が現状では実施できていないが,土木研究所の歩道橋,FRP水門等の構造物の調査を実施し,変状について観察するとともに,FRP構造物の点検時に,点検調査票に記載すべき事項について検討を行った. 土木研究所で約23年間暴露されているFRP歩道橋の床版部材から材料試験片を切り出し,引張(0度,90度),圧縮(0度,90度),45度引張試験を実施することで,暴露面および下面の物性値の変化を定量的に明らかにした.0度方向(引抜方向)では,引張・圧縮共に暴露なしと比較して,最大で約20%程度の強度低下が見られた.90度方向では,引張試験で最大35%程度の強度低下が見られ,暴露面での低下が大きかった.90度方向の圧縮強度は大きな変化は見られなかった.45度引張試験より,せん断強度は,暴露により最大約30%の低下が見られた.すべてにおいて,弾性率の変化は小さかった.また,床版材料について,外観観察,および超音波検査により音速の測定を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,(1)FRPの変状,非破壊検査,補修に関する文献調査,(2)既設土木FRP構造物の実態調査,(3)FRP歩道橋床版の外観調査・非破壊検査と残存性能評価を実施した. 当初計画でR3年度に実施する予定の研究はほぼ終了しているが,(2)の既設土木FRP構造物の実態調査については,今後も継続的に調査を行う.また,(3)については,当初より,R3年度とR4年度にまたがって実施する予定としており,現在は,外観評価や測定した音速と,材料試験より得られた残存性能との関係性について,詳細に調査を実施する予定である. R4年度以降も,現在の研究体制で研究を実施していくことで,当初の研究計画を達成できると判断している. ただし,購入を検討していた超音波探傷器が半導体不足から年度内に入手できなかったため,超音波探傷検査を継続的に実施していくのであれば,R4年度以降で購入するかどうか検討する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は,FRP歩道橋床版だけでなく,約20年暴露されたFRP角パイプを対象部材とし,それらの外観評価,非破壊試験(指触,打音検査,超音波探傷試験,透水試験など)を実施し,外観の劣化レベルと,非破壊検査結果との比較を行う.また,それらの部材から劣化程度の異なる部分から材料試験用のクーポンを切り出し,初期の材料物性値からの変化率を同定する.さらに,樹脂の化学変化を赤外線分光法にて調査し,SEM観察も実施することで,材料の化学的な変化や材料組織の変化を詳細に明らかにする.また,既設FRP構造物の変状調査を継続的に実施する. R5年度は,これまで2年間の研究結果から,外観の変状レベルとの残存性能との対応関係を検討し,外観観察または非破壊検査結果から,残存性能レベルの推定する方法を提案する.最後に,FRP構造物の維持管理において,構造性能を評価するための基礎データとなる定期点検項目および定期点検票の提案を行う予定である.
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Research Products
(1 results)