2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of evaluation method of aging and reliquefaction for liquefied ground considering sand particle's orientation
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21H01425
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
豊田 浩史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90272864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
風間 基樹 東北大学, 工学研究科, 教授 (20261597)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液状化 / 年代効果 / せん剛性率 / 三軸試験 / 振動台試験 / サンプリング |
Outline of Annual Research Achievements |
三軸液状化試験において,昨年度,水中落下法により相対密度約30%の供試体を作製した.この供試体では再液状化時にネッキングが顕著であったため,今年度は空中落下法により,相対密度約60%の供試体を作製した.粒子配向性0度(粒子配向性は水平方向),45度,90度(粒子配向性は鉛直方向)の供試体を,マイクロスコープにより,粒子配向性を読み取ったところ,水中落下法ほど顕著ではないものの,ある程度の粒子配向性が確認できた.そこでこれらの供試体に関して,三軸液状化試験を実施した.液状化強度比(繰返し数20回の繰返し応力比)は大きい方から,90度,45度,0度の供試体となった.せん断強度の大きさの順と全く逆になったことは興味深い.次に,液状化後の供試体に対してマイクロスコープによる粒子配向性を測定したところ,粒子が立つ方向(90度)に向かうことがわかった.再液状化強度を求めたところ,すべてのケースで液状化強度より大きくなった.これは相対密度30%の供試体とは逆傾向である.今後,液状化後の供試体の粒子配向性を読み取ることにより,再液状化強度のメカニズム解明を行っていく予定である. 傾斜式土槽を用いた液状化試験を実施したが,土槽からの空気漏れにより,土槽内を完全真空状態にすることが出来なかった.このため,模型地盤の飽和度にばらつきがあると考えられ,粒子配向性を考慮した液状化強度比較には至らなかった.早急に土槽を改良することにより,模型振動台試験での粒子配向性と液状化強度の関連を検討していく. 新潟地震で液状化した信濃川河川敷において,GSサンプリングにより不攪乱試料を採取してあるので,粒子配向性の読み取りと液状化試験を実施予定である.三軸試験,模型振動台試験,原位置不攪乱試料から,総合的に,液状化強度に与える粒子配向性の影響を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの懸念事項:ゆるい供試体の三軸再液状化試験にはネッキングの影響が含まれている可能性がある,したがって,昨年度は,中密(Dr=60%)な供試体を作製して三軸液状化試験を実施した.漏斗を用いた空中落下法においても,ある程度の粒子配向性を再現できることがわかった(ただし,水中落下法や別途実施したふるい落下法による密な供試体より,配向性の集中度は低い).まだ,十分な結果がなく,定量化評価できるまでには至っていないが,得られている傾向として,液状化強度は,堆積角度,90度,45度,0度の順に強い.これはゆるい供試体と同じ傾向であり,せん断強度の大きさの順と全く逆になっていることは興味深い.再液状化強度に関しては,すべてのケースで液状化強度より微増する傾向が見られた.これはゆるい供試体と逆の傾向である.ネッキングが改善された影響が大きいとみているが,今後,ゆるい供試体との比較や定量的評価を行うことで,液状化強度に及ぼす粒子配向性の影響に関するメカニズムの解明を行う. その他,今年度は,模型振動台試験による,液状化強度と再液状化強度の比較を行う.傾斜式土槽を用いて,粒子配向性を付けた模型地盤の作製には成功したが,真空による完全飽和地盤の作製に失敗し,信頼性の観点から,直接の比較には及ばなかった.土槽の改良を進め,信頼性のある振動台液状化試験を実施する.さらに,新潟地震で液状化した信濃川河川敷で採取した不攪乱試料の分析(粒子配向性の読み取りと液状化強度)も進める.三種類の試験を総合的に評価して,実地盤での粒子配向性が液状化強度に与える影響の解明を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
再液状化強度を推定するために,粒子配向性に着目した研究を実施している.堆積角 0度の供試体は,液状化により粒子配向性が90度に近づくので,再液状化強度は強くなることを予想したが,そうはならなかった.この理由として,ゆるい供試体は液状化するとネッキング等により,液状化強度が小さくなることが考えられた.そこで,ネッキング等の影響が小さい中密(相対密度60%)の供試体を作製することを試みた.空中落下法での作製に成功したものの,定量化評価のための十分な試験結果が得られていない状態なので,本年度も継続して試験を実施する. 次に振動台液状化模型試験であるが,模型地盤の作製には成功したものの,模型地盤の飽和化が十分でない可能性がある(土槽内を完全真空状態に出来なかった).今年度は,完全飽和した模型地盤を作製して,液状化強度と再液状化強度を粒子配向性の観点から議論する.液状化模型試験は,実地盤の挙動にかなり近いと考えられ,三軸試験と比較することで,実験の信頼度を上げていく予定である. 最後に,信濃川河川敷より採取している液状化地盤の不攪乱試料より,粒子配向性を読み取る.同時に行った地盤調査より,液状化したと思われる地層と液状化していないと思われる地層がある程度推定できる.この液状化層と非液状化層の粒子配向性を比較することにより,液状化により,粒子配向性がどのように変化したか把握する.三軸液状化試験,振動台模型液状化試験,原位置不攪乱試料より,粒子配向性に同様の傾向が得られるようなら,粒子配向性の観点から再液状化強度を推定することを試みる.
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