2022 Fiscal Year Annual Research Report
Innovation of particle method for solid-liquid multiphase flow model by introducing SPS mass transport model
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21H01433
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 仁志 京都大学, 工学研究科, 教授 (40243068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 英治 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00362450)
Khayyer Abbas 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80534263)
五十里 洋行 京都大学, 工学研究科, 助教 (80554196)
清水 裕真 京都大学, 工学研究科, 助教 (20869705)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 固液混相流 / 粒子法 / SPS質量輸送モデル / 拡散方程式 / 激甚土砂災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
混相流と粒状体の力学に基づく計算力学は,相似率の制約による移動床水理実験の限界を突破するための切り札であり,災害のメカニズムを深く理解するための鍵でもある.現在では連続相を粒子法で,分散相を個別要素法で扱う連成解析が行えるようになったが,実際の分散相は巨礫から微細土砂まで幅広いスケールに及ぶので,計算機の演算性能の制約から未だに微細土砂の影響を無視した解析を実施せざるを得ない.本研究では,現行の計算機の性能の制約下でも,微細土砂の影響を合理的に力学モデルに取り込めるSPS質量輸送モデルを開発し,微細土砂を高濃度に含む流れにおける構造物の被災メカニズムを計算力学の面から明らかにする. 本研究では,計算モデルの構築に関して3つのフェイズを想定した.第1フェイズはスカラー量の拡散係数を与える等方的拡散モデルの構築,第2フェイズは粒子法による拡散テンソルの異方性を評価できる乱流モデルの開発である.第3フェイズは幅広い粒径スケールに対応するための分散相モデルの高度化である. 初年度は,第1フェイズ,すなわち等方的拡散モデルの構築を完了し,いくつかのベンチマーク問題に適用した.本年度は,初年度に第2フェイズの準備として着手していた固定壁面近傍の計算点を高密度に配置するための粒子法の改良に関する検討を深め,第3フェイズ,すなわち高負荷が予想されるカップリングモデルで固体粒子群の計算効率を上げるための準備として,個別要素法の陰解法化を完了した.実験面では,固液混相乱流の数値モデルの検証のために必要な装置として初年度に導入したPIVシステムを用いて,水中に投入された透明粒子群の間隙流体の流速計測を本格化させ,沈降する粒子群が誘起する乱流の計測を行った. 得られた成果,すなわち新たな計算技術や実験データに関しては,本報告書の項目10に記載の国際学術誌・学会発表等で公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
はじめに,本研究のフレームワーク(微細土砂粒子を拡散モデルで表し,粒子分散相を構成するDEM粒子を質量可変粒子として,個々の固相粒子を微細土砂粒子の生成源として扱うことにより,固相全体の質量保存を満足させる)に関してはWeb of Science core collection に属する主要国際journal・Computers and Fluidsにて公表済みである. 先の第1フェイズ,第2フェイズに共通する基礎技術としての高精度粒子法に関しては,本報告書の項目10に記載の3編の全文審査付き論文(いずれも英文)にまとめた.この 3編はすべて,Web of Science core collection に属する主要国際journal(具体的にはApplied Mathematical Modellingに2編,European Journal of Mechanics-B/Fluidsに1編)に掲載された.また,第3フェイズの準備として実施した個別要素法の陰解法化に関しても,主要国際誌Computational Particle Mechanicsに論文掲載された.第2フェイズの準備として実施した固定壁面近傍の計算点を高密度に配置するための粒子法の改良に関しては,新たな計算安定化手法VEM/VCS法に関する提案が,主要国際誌Applied Mathematical Modellingに掲載された.さらに,本研究で開発する計算手法の主要な適用対象である移動床問題に関しては,PIV計測と同期的に使用するコードの雛形の開発を進め,先行的に行った解析結果が主要国際誌Coastal Engineeringに論文掲載された. 技術開発は順調に進行し,中間的成果は既にjournal掲載されており,進捗状況は概ね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたとおり,本研究では,第1フェイズ:スカラー量の拡散係数を与える等方的拡散モデルの構築,第2フェイズ:粒子法による拡散テンソルの異方性を評価できる乱流モデルの開発,第3フェイズ:幅広い粒径スケールに対応するための分散相モデルの高度化の3つのフェイズを想定するが,第1フェイズ,第2フェイズに共通する基礎技術としての高精度粒子法に関しては,研究開発を継続して行う. 第2フェイズに関しては,陽解法型粒子法を対象に新たに開発した計算安定化手法VEM/VCS法を半陰解法型へと拡張し,壁面付近の計算点密度を高めて高精度の乱流計算の実施に備える.第3フェイズに関しては,すなわち高負荷が予想されるカップリングモデルで固体粒子群の計算効率を上げるために開発した個別要素法の陰解法コードを一層洗練し,混相乱流の計算モデルの計算効率及び精度の向上を追求したい.一連の準備を受けて,浮遊粒子の乱流拡散の異方性を導入したSPS質量輸送モデルのフレームワークを整えて,試行計算を実施する.また,実験に関しては,本年度は,初年度に導入したPIVシステムを用いた水中に投入された透明粒子群の間隙流体の流速計測を本格化させたが,次年度は,実験を継続して一連の計測結果と数値モデルの同化の検討を進め,固液混相乱流場のための乱流モデルの構築を試みたい.新たな計算技術や実験データに関しては,国際学術誌,学会発表等で公表する.
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Research Products
(8 results)