2021 Fiscal Year Annual Research Report
災害脆弱性を指標にした土砂災害起源の複合災害の条件付き災害発生確率に関する研究
Project/Area Number |
21H01436
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大石 哲 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30252521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野井 一輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (30806708)
梶川 義幸 神戸大学, 都市安全研究センター, 特命教授 (20572431)
富田 浩文 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, チームリーダー (00399578)
竹山 智英 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (00452011)
大谷 英之 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (80639584)
阿波田 康裕 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 施設部, 主任研究開発員 (80772615)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | リアルタイム浸水災害発生予測 / HPCシミュレーション / 気象・斜面観測実験 / 複合災害 / シミュレーション結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,洪水・土砂複合災害の結果としての浸水災害を対象にして,地域のリアルタイム浸水予測可能性を論じようとしている.具体的には,詳細な降雨分布や個別の斜面崩壊場所に依存して浸水が発生する集落の浸水発生の予測可能性を主な研究対象とし,異なる研究分野で開発されたHPCシミュレーションの手法に観測情報を組み合わせて高度化を実施している.その関係を知識として蓄えることでリアルタイム浸水災害発生を予測する可能性を論じる.具体的には,以下の項目を行ってきた. 土砂洪水氾濫シミュレーションによる土砂災害起源の洪水災害の脆弱性(山野井):土砂の輸送・堆積過程を含む洪水土砂氾濫解析プログラムを用いて多数の土砂洪水氾濫シミュレーションを実施する仕組みを実装して,スーパーコンピュータ「富岳」を用いて多数シミュレーションを異なる対象地域で実施した. 多数の斜面崩壊シミュレーションによる斜面崩壊時の不安定土砂の量と流下距離の計算(竹山・大石):斜面崩壊シミュレーションプログラムに地形と地質データを入力して実斜面スケールでの計算を実施する仕組みを実装して,スーパーコンピュータ「富岳」およびOakforest-PACSで計算実行した.詳細な気象シミュレーション(富田・梶川):平成30年西日本豪雨を対象に大雨発生事例をスーパーコンピュータ「富岳」で詳細に再現して降雨情報提供に目処をつけた.異なるHPCI-IDシミュレーションの連結(大谷・竹山・山野井・大石):データ処理プラットフォームを用いて高精細気象シミュレーションと洪水土砂氾濫解析を疎結合することを試み,ライブラリの構成,スクリプトを用いてライブラリを活用する方法を取りまとめた.角田地区での斜面崩壊実験によるシミュレーション精度検証(阿波田・竹山・大石):実施準備をして2022年度の実施計画を立てた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下記の6項目のうち,3項目が順調に進展した.2項目を予定通り2022年度に実施する.1項目は2021年度に実施できず,2022年度に実施する. 土砂洪水氾濫シミュレーションによる土砂災害起源の洪水災害の脆弱性:順調に進展.多数の斜面崩壊シミュレーションによる斜面崩壊時の不安定土砂の量と流下距離の計算:順調に進展.角田地区での斜面崩壊実験によるシミュレーション精度検証:2022年度に実施.詳細な気象シミュレーション:順調に進展.異なるHPCI-IDシミュレーションの連結:気象と洪水土砂氾濫解析で検討開始.個々のプログラムが準備できたので2022年度に本格的に実施.リアルタイム浸水災害発生のためのデータストリームの実装:2022年度に実施.
|
Strategy for Future Research Activity |
土砂洪水氾濫シミュレーションによる土砂災害起源の洪水災害の脆弱性(山野井):土砂の輸送・堆積過程を含む洪水土砂氾濫解析プログラム (DRSRIS)を用いて対象地区で多数のシナリオによる土砂災害起源の洪水災害をシミュレーションする. 多数の斜面崩壊シミュレーションによる斜面崩壊時の不安定土砂の量と流下距離の計算(竹山・大石):粒子法に基づく斜面崩壊シミュレーションプログラムを用いて実斜面スケールでの計算を実施する.シミュレーションは実験により精度を検証する. 角田地区での斜面崩壊実験によるシミュレーション精度検証(阿波田・竹山・大石):角田地区の斜面崩壊箇所を対策工事する前に残っている不安定土砂塊に測量計測を実施し,周囲からの斜面監視カメラにより計測している中で人工的に地下水位を上昇させて変位を計測する.これによりシミュレーションの精度を検証すると共に,斜面崩壊発生の詳細なメカニズムを解明する. 詳細な気象シミュレーション(富田・梶川):過去の大雨発生事例,今後の地球温暖化傾向を踏まえた大雨発生事例を詳細に再現して集落ごとの土砂災害危険度情報を提供できる現状の小型Xバンド偏波ドップラーレーダー程度の解像度を持つシミュレーションによって再現された降雨情報を提供する. 異なるHPCシミュレーションの連結(大谷・竹山・山野井・大石):高精細気象シミュレーション,斜面崩壊シミュレーション,洪水土砂氾濫解析プログラムをデータ処理プラットフォームによって疎結合させることで,HPCを用いたマルチハザードシミュレーションを実現する.
|