2022 Fiscal Year Annual Research Report
底泥有機物の電気化学特性の測定法、解析法の確立と底泥の燃料としての活用
Project/Area Number |
21H01437
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日比野 忠史 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (50263736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TOUCH NARONG 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (50707247)
中下 慎也 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (90613034)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鉄鋼スラグ燃料電池 / CO2変換水素 / 水素生産 / カーボンネガティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
底泥が持つ莫大なエネルギーを電力に転換する過程を高速化する機構を産業廃棄物である鉄鋼スラグとCO2の供給により開発した。微生物燃料電池SMFCにより底泥エネルギーの電力への高速転換研究では、底泥有機物の電気化学特性の測定法を確立し、底泥有機物の半導体特性を確認した。底泥有機物の通電(半導体)特性は金属イオン、土粒子等の無機物との混合層での電界の形成,電子移動による電位分布の変動を測定することで確認した.拡散した汚泥を燃料とするSMFCの弱点である狭い電子回収範囲を,鉄鋼スラグを補助燃料とすることで,画期的に拡大できている.この結果、世界最高水準の電力を獲得できる本SMFCは国内外の他技術に決定的に勝っている.SMFCに勝るMFCの発電できる電力は0.3V,0.05A/m2程度が世界のレベルであるが,鉄鋼スラグを補助燃料とする本SMFCでは,世界レベルをはるかに超える高い電力(0.6 V,2.0 A/m2,1.2 W/m2)を獲得した.さらに本技術を応用して電子伝達に関わる有機物反応(電子の生産性と伝導性の向上)を利用した新しいタイプのCO2変換水素生産システムを開発した。水素生産力向上のため、電極を鉄鋼スラグに接触させて表面を正に印可すると,鉄鋼スラグ内部に含有されるFeが溶解して電子と鉄イオンが生成される現象を利用した.Feの溶解はアノード層のエネルギー準位を高め,高効率で高電力を得るとともに,高い濃度の鉄イオンをカソード層(水層)に溶出する.また、鉄鋼スラグから溶出したFe2+は有機泥H2Sとの反応(Fe2+ + H2S→2H+ + FeS)を促進して土壌の解毒と藻類の増殖を増長した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄鋼スラグに含まれる鉄を利用した水素の生成に成功した。本水素生成法は電解法に比較してエネルギー効率が高く、さらにSS-SMFC電源のみで水素生産が可能である.これらの結果は実用化規模への拡張への足掛けとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
底泥に対する電極電位~電流応答解析(CV:サイクリックボルタンメトリー)、示唆熱分析(熱減量、熱容量差)や元素分析を実施して有機物自身、および鉄イオンとの錯体形成過程での酸化還元反応、熱分解反応を定式化する。さらに、通電量をFe反応量(鉄含有)との関係から鉄鋼スラグの燃料補助材としての機能を明らかにする。SS-SMFC(鉄鋼スラグ、有機泥を燃料としたSMFC)開発過程で得られる知見から有機泥への電子の挿印による泥性状の変動機構を検討して、底泥の巻き上げ現象等を再現できる静電気力を考慮した底泥、泥混入水の挙動を定量化する。 2023年度は2022年年度開発されたSS-SMFC発電機構を活用したCO2変換水素の生産機構の生産性の向上を計画する。このため、鉄鋼スラグからのFe溶出促進法、有機泥からの電子回収法を確立して、装置の大規模化に挑戦する。
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