2021 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of fragmentation and mobilization of plastic litter in river basin
Project/Area Number |
21H01441
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
片岡 智哉 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (70553767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 昌大 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30737028)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラスチック微細片 / 光劣化 / 紫外線促進劣化試験 / 力学特性 / 化学特性 / 低分子量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,流域圏における5mm未満のプラスチック微細片(S-MicP)の生成過程と流域圏から河川への流出過程を考慮した流域圏から河川へのS-MicP流出量推定モデルを開発することを目的としている.当該年度ではS-MicP生成過程のモデル化のため,流域圏に散乱する代表的なプラスチックゴミであるペットボトルラベルに着目し,紫外線促進劣化試験に基づく野外暴露時間の推定を行った.さらに,ペットボトルラベルに関してその力学特性及び化学特性を多角的に調べた. 紫外線(UV)促進劣化試験では,新品のペットボトルのラベルを準備し,UV照射装置を用いてプラスチックを光劣化させ,定期的に赤外顕微鏡(AIM-9000,株式会社島津製作所)でIRスペクトルを取得した.IRスペクトルのポリマーの化学構造がもつ波数帯と劣化由来によりIRスペクトルの変化が見られた波数帯の面積比により劣化インデックスを作成し,中須賀ポンプ場で採取した同一ラベルの屋外暴露時間を推定したところ,1日程度であることがわかった. 劣化特性に関する試験では,様々なメーカーのペットボトルラベルの新品を入手し,力学特性,化学特性,低分子量(添加剤)の抽出・分析を実施した.力学特性では,新品とごみ試料について引張試験を実施し,ごみ試料では力学特性に異方性が見られ,引張り途中で破断した.さらに,極大応力から破壊靭性を算出したところ,その値の大きさは,メーカーにより異なることがわかった.水の接触角を測定し,化学特性を調べたところ,新品試料表面は概ね疎水的である一方,ごみ試料の表面は親水的であることがわかった.また,TG測定を行ったところ,熱分解のしやすさがメーカーにより異なること,新品試料に比べごみ試料は熱物性が低下していることがわかった.また低分子量の溶媒抽出方法について検討し,抽出物の化学構造がメーカーによって異なることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度ではプラスチック微細片(S-MicP)の生成過程のモデル化に注力を注ぎ,流域圏に散乱する代表的なプラスチックゴミであるペットボトルラベルに着目し,紫外線促進劣化試験に基づく野外暴露時間の推定を行った. 当初,紫外線促進劣化試験については2年目以降に予定していたが,陸域散乱プラスチックの劣化データベースを構築する上で,インディケータとするプラスチックごみを決定する上で,適切な劣化指標,並びにその劣化過程を早期把握する必要が生じた.そこで,1年前倒しでUV照射装置を購入し,紫外線促進劣化試験の試験プロトコルを検討した.このプロトコルに従い,中須賀ポンプ場で採取したプラスチックごみの屋外暴露時間の推定について試みた.今後,これらの推定精度を把握する必要があるが,流域圏における陸域散乱プラスチックの屋外暴露時間を推定するための研究基盤が整った. さらに,新品試料とごみ試料による力学特性及び化学特性の評価手法についても検討を行い,新品試料とごみ試料による両特性に有意な違いが生じることがわかった.これは今後陸域散乱プラスチックの劣化度データベースを構築する上での基礎的情報となるものである.また,低分子量の抽出法についても検討を行い,各社メーカーによって低分子量成分の化学構造やその存在比率に違いがあることがわかった.以上のように,当初計画を一部変更はしているものの概ね計画に従ってS-MicP生成過程のモデル構築のためのデータを着実に取得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度には,使い捨てされやすく,かつ劣化しやすいペットボトルラベルを研究対象にしたが,メーカーによって材質や化学組成が異なっていた.この場合,メーカー毎にプラスチック微細片(S-MicP)の生成過程をモデル化する必要があり,効率が悪い.そこで,ペットボトルラベルと同様に使い捨てされやすいペットボトルキャップ(非印刷面)についてIRスペクトルに基づき各メーカーの材質を調べたところ,ほとんどのメーカーがポリエチレンを原料としていることがわかった.そこで,今後は研究対象アイテムをペットボトルキャップに変更する. 当該年度に構築した紫外線劣化促進試験のプロトコルに基づき,ペットボトルキャップの劣化曲線を作成する.劣化曲線は,昨年度の検討結果を踏まえ,表面形状,質量,IRスペクトル,力学特性(圧縮強度),化学特性(接触角),低分子量成分の抽出量や組成などを劣化指標に多角的に検討し,定式化する.この劣化曲線を用いて重信川流域で採取したペットボトルラベルキャップの屋外暴露時間を推定し,陸域散乱プラスチックの動態を把握する.さらに,重信川流域を対象に,流出解析モデルを用いて降雨時の表面流出水の動態についてもモデル化する.これにより,重信川流域圏におけるS-MicPの表面流出モデルを構築する.
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Research Products
(5 results)