2021 Fiscal Year Annual Research Report
High-speed video image analyses on actions of sand particles in a water jet obliquely impinging against a solid surface
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21H01443
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
竹原 幸生 近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水力発電 / 混相流 / 噴流 / 粒子 / ジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の未利用電力源として山間部の小水力発電がある。未検討の課題の一つは砂粒による発電装置の損傷である。ダム貯水池による従来の水力発電の場合は、ダムが沈砂池の役目を果たし、通常の降雨に対しては損傷を与えるような粒径の砂粒は発電取水口に達するまでに沈砂する。本研究では、小水力発電における降雨流出時の取水停止条件を明らかにするために、微小粒子群を含んだ噴流が壁面に衝突するときの運動や衝突確率を実験的に明らかにすることを目的とする。発電用機械系では水流は壁面に対して斜め衝突する。従って、今年度は通常の壁面に直角に衝突する噴流実験装置だけではなく、噴流と底面との角度を自由に変えることができる実験装置を試作した。コロナによる噴流水槽や可視化装置の導入の遅れの影響があったので、今年度は噴流水槽の試作と、可視化計測の基本性能について予備実験を行った。またダム貯水池の砂粒とその影響についての文献調査と、実際の堆砂についての現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
噴流の壁面への斜め衝突による流体中の微粒子の挙動計測を目的とし、噴流発生部分および水槽の設計、構築及び性能確認実験を行った。水槽は底面の中心線を中心にして0°から40°の間で回転させることができる。またノズル先端位置も可変である。流量は水の循環系に挿入した電磁流量計で測る。バルブの開度を固定して、水平床に対して繰り返し実験を行ったときのノズルでの平均流速は1.344m/secに対して標準偏差は0.42%であり、十分な安定性があることが確認できた。また底面と側面から高速ビデオカメラによりPTV(Particle Tracking Velocimetry)により流れ場測定を行い、とくに問題なく測定できることを確認した。 また小水力発電の候補地で河床の粒度分析を行った。またある電力会社に対して小水力発電施設に流入する砂粒の粒度と、それに対する取水停止の条件等について資料提供を依頼した。現場では経験的な操作を行っており、系統的な検討をまとめた資料はないということであった。現場技術者へのヒアリングや、現地毎に残しているはずの経験的な操作方針の資料の収集は地味ではあるが、今後、小水力発電計画を実際に進める上では貴重な研究資料となる。
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析と実験による結果の検証:界面極近傍での粒子運動に関する数値解析の結果を実験的に検証する。これまでの可視化計測の経験から、底面や水面等の界面付近でのトレーサ粒子による可視化計測には以下のような課題があることがわかっている。 (1) 界面に平行な方向からシート光で可視化する場合、界面が光って目視では見える粒子が可視化計測ソフト(当研究室では自主開発の高性能PTVアルゴリズムを使用)では検出されない場合が多い。(2) 界面に直角方向から面照明で可視化する場合、奥行き方向の焦点深度外にある多数の粒子が光って背景光となり、界面付近のトレーサ粒子の視認性が下がる。(3) 経験的には界面のトレーサ粒子密度は、バルクの水中よりかなり低いように感じる。 3番目の課題は単なる「気のせい」であるのか、流体力学的にそうなるのかは、砂微粒子の衝突確率を考察する上で、本研究の主要な課題の一つでもある。1と2番目の課題を緩和するために「界面シート照明」を提案した。可視光、近赤外線(NIR)、短波赤外線(SWIR)で撮影可能な高性能ビデオカメラを導入する。例えば、YAGレーザの基本波長1024nmで面照明する場合、水の吸収係数を考慮すると、界面から1cm以上離れた水中には照明光が届かない。従って水面を含めて第2の課題が大きく緩和される可能性が高い。このような可視化技術を仮に「界面シート照明」と名付けることにした。本研究ではこの新しい計測技術の開発も視野に入れる。
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Research Products
(4 results)