2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a model for estimating health/economic damages from pandemic and the effect of public-immunity resilience program
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21H01453
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 聡 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 裕久 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60281698)
宮沢 孝幸 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (80282705)
川端 祐一郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (80814996)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス感染症 / GDP / パンデミック / 自粛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、1 社会経済活動の制限やマスク着用等の行動変容が,健康・経済被害に与える影響、2 医療資源や保健体制への財政投資による健康・経済被害の低下、3 東京一極集中を緩和し国土構造を分散化することによる健康・経済被害の低減の効果を分析し、健康被害と経済被害の双方を考慮した政策決定の方法を検討することにある。 2021年度には、新型コロナウイルスの感染や緊急事態宣言、蔓延防止措置等が継続したこともあり、当該ウイルスの感染と国民の行動、経済状況の関係の基礎的な分析を主に行った。2021年度中に行った分析の概要は、以下の通りである。 (1) 新型コロナウイルスの感染状況やメディアの報道が、国民の態度や行動に与える影響について、土木学会が実施した市民向けアンケートデータを用いて分析を行った。(2) 44カ国における行動制限がGDPに与えた影響の検証と、G7各国における賃金補償が行動制限及びその緩和に与える影響について、公開統計に基づき分析を行った。この結果により、行動制限や経済支援の影響規模を大まかに把握することができた。(3) 日本における新型コロナウイルス被害を、余命損失指標に換算することにより、他の種類のリスクと比較検討を行った。これは、社会的なトータル被害を議論する上で、有用な知見となる可能性がある。(4) 新型コロナウイルスの感染状況が、「外出削減率」「気温」「従来型コロナウイルスの変動パターン」といかなる関連性を持つかを分析した。これは感染状況の予測に必要となる知見である。(5) 臨床現場の医師へのアンケートに基づき、新型コロナウイルス対策のあり方についての医師の見解の幅の広さを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析は、概ね順調に進展している。新型コロナウイルス感染症の流行による社会的な影響が、2021年度にも引き続き継続したため、パンデミック対策政策の支援モデルの検討に先立って、これまでのところは基礎的な現象分析を行ってきた。当初の予定よりは、基礎的な分析に割く期間が延びているものの、その分、モデル検討に必要なファクトが豊富に得られているため、おおむね順調と判断しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は、1 社会経済活動の制限やマスク着用等の行動変容が,健康・経済被害に与える影響、2 医療資源や保健体制への財政投資による健康・経済被害の低下、3 東京一極集中を緩和し国土構造を分散化することによる健康・経済被害の低減の効果を分析するとともに、パンデミックに対する公的な対策を検討する上での、意思決定支援のためのモデルを検討することにある。 2021年度は、新型コロナウイルス感染症が社会に与えた影響や、逆に国民の行動が感染状況に与えた影響について、基礎的な分析を行ってきたが、今後はこれらを踏まえて、政策手段から帰結を予測するモデルの検討と、東京一極集中緩和というマクロかつ長期の政策の詳細検討を行う必要がある。 総合性の高い研究であるため、各種の統計分析やモデル分析の関係を慎重にデザインする必要があるため、2022年度はまず、類似した政策支援に関する既往文献の検討と、新型コロナウイルスと社会現象(行動制限や経済縮小など)の関係に関する既往研究の包括的なとりまとめをまず行い、その上で、今後必要となるモデル概要の検討を進めたい。
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Research Products
(5 results)