2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparison of social welfare among urban agglomerations considering productivity and living standard and implications to the national land spatial assessment
Project/Area Number |
21H01456
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
紀伊 雅敦 香川大学, 創造工学部, 教授 (20426266)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 国土計画 / 都市経済モデル / 都市雇用圏 / 効用水準 / 地方創生 / 一極集中 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに作成した都市雇用圏別の所得,住宅費用,通勤時間の統計データを用い,都市経済モデルの選好パラメータを推計するとともに,それらに基づいてモデル世帯の全国の都市圏別の居住効用を実証的に計測,比較した.その結果,持ち家,賃貸世帯別の効用水準を定量化することができた.この結果から,大都市では所得が高いものの,通勤時間は長く,また賃貸世帯では住宅費用が高いことから,必ずしも効用水準が高くないことが示された.一方,一部の地方都市では,住宅費は安いものの,所得の低さから効用水準が低く評価されている地域も存在するが,これらの要素では,必ずしも地方都市の効用水準が低いわけではないことも示されている.これらの分析結果から,もし人口が効用の低い都市から高い都市に移動しているとするならば,所得,住宅費用,通勤時間といったプリミティブな生活構成要素では,効用を表現しきれていないことが示唆された. そこで,新都市経済学のアプローチにより,人口移動状況から推測される効用と,前述のモデルから推測される効用との差をアメニティとして求め,また,都市人口に対する所得,住宅費用,通勤時間の感度の統計的推計を試みた.当然のことながら,人口が流入する大都市において,アメニティが高く,プリミティブな効用の偏差が正にもかかわらず人口が流出する都市ではアメニティが低く推計された.また,人口が増加するほど,所得が高くなる一方で,住宅費用は高く,通勤時間も長くなると推計された.その分析結果について経済分析の専門家にヒアリングし,所得,住宅費用,通勤時間の感度については,人口との内生性が想定されることから,操作変数法等による再推計の必要性が指摘されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計データの取得とそれを用いた分析を行い,その結果を取りまとめた論文1編が登載決定となり,進捗は計画通りである.また,アメニティの定量的評価についても分析を行ったが,一部に理論的な課題が残されていることから,その課題を解消するための分析を継続している.その進捗は予定の範囲内であり,順調である.
|
Strategy for Future Research Activity |
内生性を考慮した住宅費用,通勤時間の感度の統計的推計を進め,都市間人口移動シミュレーションと組み合わせた効用水準の動的変化の推計モデルを構築する.これに基づき,人口分布の望ましさ,および地方創生策等による国土政策による介入の必要性について研究を進める.
|
Research Products
(4 results)