2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of physiochemical characteristics and control measures of endotoxin-producing bacteria dominating in water purification systems
Project/Area Number |
21H01469
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
島崎 大 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (60322046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 郁朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20431794)
三好 太郎 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (80587791)
秋葉 道宏 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (00159336)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エンドトキシン / 浄水処理 / 排水処理 / 医療施設 / 微生物群集構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
生理活性物質であるエンドトキシン(ET)は、医療現場で用いる水道水(医療用水)から可能なかぎり除去することが望ましい。本研究は、浄水処理プロセスによりETおよび主たるET産生菌をできるだけ低減するための方策を提示することを目的としている。本年度は、国内の高度浄水処理を有する浄水場を対象として、排水・汚泥処理を含む各プロセスにおける、ET活性およびET産生菌の存在状況や挙動の調査を行った。 当該の浄水場では、凝集沈殿-オゾン処理-生物活性炭ろ過-塩素処理-急速砂ろ過による一連の浄水処理を行っており、生物活性炭からはR2A培地で増殖可能な細菌が単離されたものの、ろ過砂からはほとんど単離されなかった。 単離菌を対象に16S rRNA遺伝子を標的とした遺伝子解析では、ろ過砂からRhodococcus, Erythromicrobiumが同定された。また、生物活性炭は更新後半年ほどの新炭であるためか、これまで同浄水場の生物活性炭からは同定されていないPorphyrobacter, Mesorhizobium, Undibacterium等が確認された。浄水汚泥に含まれる細菌種は多種多様であった。単離された各細菌のうち、滅菌水道水中でのET産生能が高い細菌はPiscinibacterであった。 排水処理の上澄みである原水返送水中には、水道原水と同レベル以上のET活性・全菌数・従属栄養細菌数が含まれることが確認された。実験室内における限外膜ろ過実験により、ダム湖水ならびに河川水中の結合型ETを効果的に除去可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
浄水場については、当初計画どおり調査対象とする浄水場を選定、調整し、排水処理工程を含む各試料を採取した。生物活性炭・急速ろ過砂・浄水汚泥試料から細菌を単離し、各細菌のエンドトキシン(ET)生成能力を評価する手法を確立した。各単離菌の遺伝子を解析し、ET産生性が高い細菌群を各月ごとに抽出した。さらに、次世代シーケンシングを用いた群集構造解析により、ET高産生細菌群が生物活性炭の微生物群集全体に占める割合を評価できた。 室内実験によるエンドトキシン除去性の評価についても、小型膜ろ過装置を用いた実験系を確立できた。 一方、国内における新型コロナウイルス感染症の第5,6波の影響等により、医療施設を対象とした調査において遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に調査対象とした浄水場とは水源が異なる他の浄水場を対象として調査を継続し、各試料から検出される細菌種やエンドトキシン生成能力について比較を行う。医療施設を対象とした調査においては、当方の訪問による採水が困難である場合には、医療施設従事者(臨床工学技士等)による採水を依頼しての実施を検討する。 また、本年度において単離されたエンドトキシン高産生細菌を対象に、各産生菌の生理化学特性(エンドトキシン産生特性・増殖特性・化学構造)の解明に着手する計画である。
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