2021 Fiscal Year Annual Research Report
質量可変型回転慣性質量ダンパーを用いた応答変位・加速度を共に低減する免震技術開発
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21H01483
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池永 昌容 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50552402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
榎田 竜太 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20788624)
松田 敏 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60278603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイナミック・マス / 免震構造 / 性能可変 / 変位依存 / 動的加力実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2021年度は、以下2項目について研究成果が出た。 (a)可変質量ダンパーの制振性能に対するメカニズム解明(数値解析) 図3で示した構造物の応答倍率曲線と入力地震動のパワースペクトル密度の関係について考察を加えるとともに、D.M.と支持部材によって構成される付加振動系と構造物との関係性を振動モードから考察する。また時々刻々の性能変化応答を分析して制振性能を解明し、その知見を利用して質量可変ダンパーの設計法構築をめざした。解析結果に基づく分析の結果、免震層変位の抑制と上部構造の加速度応答抑制を設計段階ごとに分離して考える設計手法を提案することができ、その設計手法の妥当性と種々の地震動に対する有効性を確認することができた。さらに、既往の制御理論を利用した簡易なダンパーパラメータ決定方法の構築にも言及することができ、2つの設計式から従来のダンパーよりも免震効果が高い設計が可能であることを示した。 (b)ダンパー単体の動的加力実験 項目(a)の結果をふまえて質量可変ダンパーを用いた動的加力実験で本ダンパーの実用化に向けた課題抽出と改善方法を模索した。質量可変ダンパーは次年度に製作予定であったが、既存の装置を参考に新しいダンパーを短時間で設計することができたため、これを用いて2022年度に予定していたダンパー単体動的加力実験の一部を前倒しした。その結果、質量可変性能を確認するに至ったが、同時に実験装置の問題点を明らかにすることもできたため、2022年度に実験装置自体の改修を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、当初の計画を一部変更し(1)数値解析による制振性能のメカニズム解明、(2)動的加力実験によるダンパー性能確認、(3)確率統計的手法を利用した質量可変ダンパーの性能変化開始変位の設計(数値解析)の3項目を行った。 (1)数値解析による制振性能のメカニズム解明については、振動制御理論を利用した新たな質量可変ダンパーの設計アルゴリズムを構築し、それの有効性を複数の入力地震動に対して有効であることを示した。この成果については現在、日本建築学科の構造系論文集(査読付き)に投稿中である。 (2)動的加力実験によるダンパー性能確認試験は2022年度の計画を前倒しして実施しており、2022年度に想定していた研究計画の半分程度を達成できたと考えている。今後は実験で明らかになった問題点の解決のため改修計画を立案し、今年度に再実験を行う。 一方で当初の計画であった「(3)確率統計的手法を利用した質量可変ダンパーの性能変化開始変位の設計(数値解析)」については、用いる入力地震動の作成を行い数値解析による検討は進めているが、設計手法構築には至っておらず試行錯誤を続けている段階である。この項目については共同研究者(松田)と打ち合わせを重ねているものの、広く一般性を持った結果を導出することが困難であると現状では判断しており、限定的な地震動に対する理論構築にとどめるなど、一部研究計画の見直しを含めて検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に基づき、計画を一部変更した「確率統計的手法を利用した質量可変ダンパーの性能変化開始変位の設計(数値解析)」の実施を優先的に行う。数値解析手法と入力地震動データの作成は完了しており、現在は数値解析の結果の分析と分析結果を用いた設計手法構築を、共同研究者(松田)と随時行っている。ただし性能可変ダンパーの設計は広く一般性を持った理論構築が困難であるため、長周期長時間地震動など限定的な入力地震動に対する理論構築を優先させる方針である。 次にダンパー改修案については複数案を機械関係業者と発案中であり、具体的な製作図面が出来上がり次第、製作・実証実験を行う。問題点を解決したうえで、共同研究者(榎田)と関西大学の動的加力試験装置へのリアルタイムハイブリッドシミュレーションの実装をめざす。 最後の3年目に向けた準備として、振動台実験を見据えた実験実施計画と予備解析を7月より共同研究者(五十子・榎田)と行う予定であり、進行状況によっては本年後半より振動台実験のための予備実験を行う。
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Research Products
(1 results)