2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the planning of a new nursing home by providing employment and paid volunteer activities
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21H01503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 研 京都大学, 工学研究科, 教授 (70311743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 一平 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (20848725)
富永 晃一 上智大学, 法学部, 教授 (30436498)
小川 敬之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (50331153)
永井 邦明 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (80823567)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者就労 / 有償ボランティア / 作業療法 / 居場所 / 集いの場 / 労働者性 / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、高齢者就労および有償ボランティアを先進的に実施している施設に対し、アンケート調査を行ったほか、複数の施設に対して詳細なインタビュー調査も実施し、「施設情報シート」として整理した。また、就労的活動が行われる集いの場の類型化を実施した。その結果、タイプ0は相互補完的な関係で自然発生的な多様なつながりがあり、タイプⅠは共通の生きがい・楽しみを主目的とした場、タイプⅡは交流・孤立予防を主目的とした場、タイプⅢは心身機能維持・向上を主目的とした場に分類できること、就労的活動は主にタイプⅠで行われていることを明らかにした。さらに、就労上必要とされる各種の配慮(支援)の位置づけや限界についても課題を抽出したほか、通所介護事業所における生きがい就業支援の実態を具体的な支援の方法に焦点を当てて調査し、介護保険サービス利用者の就業を支援する意義を通所介護事業所の所長が支援を始めるまでのライフストーリーの分析から検討した。一方、認知症高齢者の行動・心理面の評価においては、作業療法分野で開発されたA-QOA(活動の質に関する観察評価法)の講習に参加し、今年度、研究代表者らが認定評価者となった。これにより、専用ソフトAqoaProの使用が可能になった。今後、蓄積した就労的活動の行動データをAqoaProにより分析、数値化する予定である。また、高年齢者の就業に関する法規制については、一見すると報酬が目的とされていないようにみえる就労(ボランティア、リハビリ就労)についても文献収集と検討を進めるとともに、就労上必要とされる各種の配慮(支援)の位置づけ・限界についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、高齢者就労および有償ボランティアを先進的に実施している施設に対し、アンケート調査を行い、全国の実態把握の結果を引き続き「施設情報シート」にまとめたほか、複数の施設に対して詳細なインタビュー調査も実施し、「施設情報シート」に蓄積している。コロナ禍であり、訪問調査を受け入れられない介護現場が多く、調査は進展しにくい部分もあったが、相当数の事例を収集できた。それらをもとに、現段階で就労的活動が行われる集いの場の類型化、位置づけについては、今後は活動の目的に着目して類型化、整理を行い、就労的活動は主にタイプⅠで行われている実態を導いた。
さらに、認知症高齢者の行動・心理面の評価については、研究代表者らが作業療法分野で開発されたA-QOA(活動の質に関する観察評価法)の認定評価者となった。これにより、専用ソフトAqoaProの使用が可能になった。コロナ禍において現地調査を受け入れられない介護現場が多く、行動調査は進展しにくい部分もあったが、今後、蓄積した就労的活動の行動データをAqoaProにより分析、数値化できるようになった。
一方、高年齢者の就業に関する法規制については、これまでの就労的活動の課題抽出に加えて、一見すると報酬が目的とされていないようにみえる就労(ボランティア、リハビリ就労)についても文献収集と検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の最終年度となる本年度は新しい内容に踏み込むよりも、これまでの調査で抜け落ちている部分の補強と、情報発信に向けたこれまでの成果の整理、取りまとめ、論文執筆に力を入れる。高齢者就労および有償ボランティアを先進的に実施している施設に対するアンケート調査、インタビュー調査については、すでに全国の実態把握が終わり、「施設情報シート」にデータ蓄積が進んでいる。そのため、今年度は、これまでのデータを総括して、抜け落ちている事例があれば情報収集するが、主に研究課題の知見の中心的成果として、就労的活動の位置づけ、地域資源の活用実態、課題を抽出、整理することに力を入れる。また、認知症高齢者の行動・心理面の評価については、すでに述べた通り、研究代表者らが作業療法分野で開発されたA-QOA(活動の質に関する観察評価法)の講習に参加認定評価者となった。これにより、専用ソフトAqoaProの使用が可能になったため、今後、蓄積した就労的活動の行動データをAqoaProにより分析、数値化することで、実証的に認知症高齢者の行動・心理面の評価としてまとめる予定である。一方、高年齢者の就業に関する法規制については、労働基準法の適用範囲、多様化する雇用形態のなかでの位置付の整理、柔軟な働き方を担保する仕組みなどの健康面、安全面での配慮など、これまで把握した内容を整理して、今後の高齢者の就労支援の現場で活用しやすい表法としてまとめる。
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Research Products
(15 results)