2021 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界圧燃焼流れ場の高度デジタル予測に資する詳細反応機構-燃焼LES技術の開発
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21H01522
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺島 洋史 (石原洋史) 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20415235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 宗司 東北大学, 工学研究科, 教授 (40608816)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 燃焼 / 非理想性 / 乱流燃焼モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
超臨界圧燃焼流れシミュレーション(超臨界燃焼CFD)を実施するため,まず,熱,輸送物性,そして化学反応モデルに非理想性を考慮した流体物性モデルの開発を行った.非理想性を考慮した物性算出プログラムは,世界で標準的に使用される熱・輸送物性ライブラリChemkinと互換性を持つように設計し,任意反応機構を用いた超臨界燃焼CFD解析が可能となっている.特に本研究では,多くの関連研究で無視されてきた化学反応における非理想性を考慮したモデル構築を行った.化学反応における非理想性は,反応前後のギブス自由エネルギー変化をフガシティーで記述し,最終的には平衡定数の算出において考慮される.高圧水素火炎伝播実験と比較を行い,本モデルが実験で観測された質量燃焼速度の圧力負依存性を再現できることを示した.高圧条件においては,質量燃焼速度予測に理想気体モデルとの差が発生するが,この原因をJoule-Thomson(J-T)効果(エンタルピーの圧力依存性)で説明できることを提示した.例えばアルゴンで希釈されていれば,エンタルピーが負の圧力依存性を持つため,非理想モデルは,理想モデルに比べ低い層流燃焼速度および質量燃焼速度を予測する.J-T効果を用いた非理想性効果の議論はこれまでほとんどなく,本成果は,採択が約35%と競争的で知られている国際燃焼シンポジウムの口頭発表に採択されている.化学反応項LESモデル開発については,これまで開発してきた火炎モデル(LTF)をベースとし,火炎伸張を考慮したモデル拡張(LTF-Beta)を実施した.乱流平面火炎干渉場の解析を通して,wrinkled flame領域では,LTF-BetaがLTFに比べ直接数値解析に近い結果を予測できることを示した.異なる燃焼領域への適用や燃焼速度と火炎伸張率の線形モデルに対するさらなる理論考察が必要であり,継続して研究を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界燃焼流れ解析を実施するため,熱,輸送物性,そして化学反応に関する非理想モデルの開発を予定通り完了した.特に化学反応に関する非理想モデルは,これまでの関連研究では無視されてきたものである.今回開発した熱,輸送,そして化学反応モデルによって,非理想性が一貫性をもって考慮される.開発した非理想モデルは,高圧火炎伝播の実験結果と比較され,理想気体モデルに比べて,高精度で実験結果(質量燃焼速度)を予測できることが示されている.化学反応項LESモデル開発は,一般的な非定常乱流燃焼場に適用可能な火炎伸張を考慮したモデル拡張(LTF-Beta)に取り組み,限定条件下ではあるが,オリジナルのLTFモデルに比して直接数値解析結果に近い結果を出すことを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで同様に,分担者と1ヶ月ごとのミーティングを設けて,研究開発を着実に進める.また,採択された国際共同研究強化Aを活用し,海外研究者との研究交流を含めることで,本研究課題を推進する.
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Research Products
(5 results)