2022 Fiscal Year Annual Research Report
低レイノルズ数においてcntTSPを用いた運動する物体表面上の流れ場計測の研究
Project/Area Number |
21H01524
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 大樹 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70360724)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低レイノルズ数 / 感温塗料 / 非定常 / 回転翼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案では、低レイノルズ数流れにおいて、運動する翼面上の流れの離脱位置、層流/乱流の境界層遷移位置、再付着位置の時空間変化を可視化(検出)する技術を確立することを目的としている。その手段として、カーボンナノチューブを薄膜化したヒータ(cnt)と感温塗料(TSP)を組み合わせたcntTSPをベースとした計測技術を応用する。具体的には、運動する物体における微小な温度変化をcntにより加熱することで増幅し、その発光強度をTSPで捉える技術である。層流/乱流の熱伝達率を利用した流れ場可視化の例は数多くあるが、運動する物体に適用した例はこれまでになく、時系列的な検出を行った研究はこれまでになく、世界初といえる。 本年度は、cntTSPを回転翼ブレード上の流れ場計測に用いることで、開発したcntTSPの有用性を実証した。ここでは、回転数500 rpm、翼端速度7.2 m/sという低速条件において、定常流れであるホバリング状態と非定常性を伴う前進飛行状態のロータで、それぞれブレード表面流れを可視化し、その流れ場を議論した。まずホバリング状態では、高ピッチ角において、ブレード全体に前縁剥離渦に対応した温度分布が形成されていることを明らかにした。さらに前進飛行状態では、ブレードの1回転に同期した温度場の変化を計測することに成功し、前進飛行によって有効迎角が周期的に変化して前縁剥離渦の強度と規模が変化することを発見した。これらの結果は、低速における運動する物体の非定常流れ場の計測技術として、ここまでの研究で開発したcntTSPが有用であることを示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題では,提案していた運動する物体(翼)上の非定常流れ場をcntTSPで計測し,層流/乱流遷移を捉えることを目的としている. 昨年度までで,cntTSPの応答性評価および風洞試験による検証までを実施した. 今年度は,その発展として回転翼にcntTSPを適用し,その有用性をより一層示すことが出来たため,当初の計画以上に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定した計画は一定以上の成功を収めた.今年度は引き続き計測技術の高度化を行うとともに,国内外の学会への参加,学術論文の投稿を行う予定である.
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Research Products
(7 results)