2021 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙プラズマと衛星磁場のイオンスケール相互作用の解明に基づく軌道維持機能の創出
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21H01531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲守 孝哉 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50725249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 嶺 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80794429)
杵淵 紀世志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90648502)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 軌道力学 / 宇宙プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,低軌道プラズマによる人工衛星の軌道摂動を解明し,プラズマによる力を利用した複数衛星の新たな編隊飛行手法を構築する.はじめに,これまで未解明であった低軌道プラズマと衛星の電磁コイルの相互作用に着目し,プラズマの運動量変化より生じる反作用力(プラズマ力)の発生メカニズムを実験的に解明する.本検討は,クーロン力によるイオンの反射など,プラズマを粒子単位で考慮するイオンスケールの挙動を扱う点で独自のものである.次に,慣性が小さくプラズマ力の影響を受けやすい小型衛星の軌道摂動を検討する. 1年目は電磁コイルとプラズマ流により生じる抗力の発生原理を真空チャンバーにて実験により検討した.電気推進機よりプラズマ流を生成し,10 Am2の磁気トルカを試作しプラズマ力を計測した.イオン・電子質量比が軌道上環境と近く取り扱いが容易なAr+を用いることで,イオンはローレンツ力により曲げられず磁化されないが,電子は軌道上と同程度磁化される環境を実験室にて再現した.実験では,Bow Shockの形成を確認し電磁コイルの磁場でイオンの軌跡が変化することを確認した.さらに電磁コイルの変位から生じた抗力を計測し,電磁コイルの磁気モーメントの大きさとプラズマ流において生じる抗力について知見を得た。 宇宙機現象の研究では実際に軌道上で実証することが極めて重要である.そこで軌道上実験の準備を進め宇宙プラズマ力を出力するための磁気コイルの開発と相対軌道摂動を計測するためGPSを組み込んだ宇宙機システムの構築を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電磁コイルとプラズマ流により生じる抗力の発生原理を真空チャンバーにて実験により検討した.与える影響について知見を得た.実験では,Bow Shockの形成を確認し、計測した抗力から電磁コイルの磁場でイオンの軌跡が変化することを確認した.当初予定していた実験を実施できており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に実施した実験環境でFull-PIC法によるシミュレーションを実施し,シミュレーション結果と実験結果を比較し物理モデルの精緻化を行う.
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Research Products
(2 results)