2021 Fiscal Year Annual Research Report
超高精度フォーメーションフライトと補償光学による合成開口望遠鏡の地上実証
Project/Area Number |
21H01534
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
宮村 典秀 明星大学, 理工学部, 教授 (50524097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中須賀 真一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40227806)
五十里 哲 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00802977)
川端 洋輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (80803006)
横堀 慎一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 学術支援専門職員 (10898860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フォーメーションフライング / 能動光学 / 補償光学 / リモートセンシング / 小型衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、静止軌道周辺に超小型衛星を配置することで高空間分解能と高時間分解能を両立する「静止リモセン」の学術分野を切り開くことを目指し、複数の超小型衛星が共同して光学系を構成する「合成開口望遠鏡」の実現手法を提案する。そのためのキー技術は超高精度フォーメーションフライト、能動光学、補償光学と、これらの協調制御である。本研究では要素技術を確立し、「合わせ技」による合成開口望遠鏡の地上実証を行うことを目的とする。2021年度は、各要素技術とシステム設計に関する検討を進めるとともに、2年目以降の研究に向けた地上実験システムの開発を行った。 要素技術の研究として、第一に、超高精度フォーメーションフライト(FF)によるmm級精度の達成には、どのようなセンサやアクチュエータ、アルゴリズムが必要であるかの検討を進めた。 第二に、能動光学を用いたμm級精度の達成に向けて、合成開口望遠鏡を構成する分割鏡を直接制御する能動光学によって光学系の相対精度を高める手法を検討した。具体的には、数学モデルによる光学要素の位置・姿勢誤差の画質への影響、ピエゾアクチュエータを用いた鏡の制御手法、レーザー干渉変位計を用いた高精度の測定に関する検討を行った。 第三に、補償光学を用いた観測波長の数分の一の精度の達成に向けて、デフォーマブルミラーと波面推定手法とを用いた調整手法に関する検討を行った。具体的には、スパースな主鏡に対する波面推定および波面補正手法と、光学定盤上の実証実験手法を検討した。 システム設計に関する研究としては、熱数学モデルを構築し、軌道上の環境を考慮した熱設計、機器配置に関する検討を行った。 さらに、2年目以降の地上統合実験に向けた、合成開口実験システムの設計、開発を行った。初期実験の結果、実験システムの妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、本研究のキー技術となる超高精度フォーメーションフライト、能動光学、補償光学の各要素技術に関する研究を進めることを目的としたが、これらに加えてシステム設計と合成開口実験装置の研究にも着手した。 要素技術の研究として、第一に、超高精度フォーメーションフライト(FF)によるmm級精度の達成には、どのようなセンサやアクチュエータ、アルゴリズムが必要であるかの検討を進めた。 第二に、能動光学を用いたμm級精度の達成に向けて、合成開口望遠鏡を構成する分割鏡を直接制御する能動光学によって光学系の相対精度を高める手法を検討した。具体的には、数学モデルによる光学要素の位置・姿勢誤差の画質への影響、ピエゾアクチュエータを用いた鏡の制御手法、レーザー干渉変位計を用いた高精度の測定に関する検討を行った。 第三に、補償光学を用いた観測波長の数十分の一の精度の達成に向けて、デフォーマブルミラーと波面推定手法とを用いた調整手法に関する検討を行った。具体的には、スパースな主鏡に対する波面推定および波面補正手法と、光学定盤上の実証実験手法を検討した。 さらに、システム設計に関する研究としては、熱数学モデルを構築し、軌道上の環境を考慮した熱設計、機器配置に関する検討を行った。 また、2年目以降の地上統合実験に向けた、合成開口実験システムの設計、開発を行った。初期実験の結果、実験システムの妥当性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目の課題である超高精度フォーメーションフライト(FF)によるmm級精度の達成に関して、衛星がお互いに離れた状態から、徐々にFF精度を上げる各フェーズにおいて、必要となる計測・制御技術をそれぞれ最適化する手法、及び搭載燃料量が少ない小型衛星の欠点を補い、合成開口望遠鏡のミッション期間を延長させるための燃料消費量の少ない制御則を確立する。 2つ目の課題である能動光学を用いたμm級精度の達成に向けて、鏡衛星間の情報を使ったロバスト化、鏡衛星間の精度を重視することによる合成開口主鏡精度の最適化手法を確立する。さらに、熱変形を考慮し、補償光学の情報を使ってレーザー干渉変位計の誤差を鏡の姿勢と熱変形に切り分けた合成開口の精度向上手法を確立する。 3つ目の課題である補償光学による観測波長の数分の1精度の達成に向けて、Phase Diversity波面センサと、可変形鏡を用いた補償光学手法を用いて、最終フェーズにおける波面推定および波面補正手法調整手法を確立する。また、スパースな主鏡により得られる画像から、高空間分解能情報の抽出手法を確立する。 4つ目の課題である統合システムの構築と地上実証に向けて、光学定盤上に無限遠観測システムと、FFSATのハードウェアシミュレータを構築する。さらに、数値シミュレータによる衛星のダイナミクス、軌道上外乱、熱入力を基に、ステージ、ヒーターによる外乱を与え、コリメータを用いて無限遠を観測しながら、能動光学、補償光学により目標精度を達成する手法を検討する。 2021年度中に各地上実験システムの開発に着手し、初期実験において、合成開口による観測画像が得られることを確認している。2022年度は当初の研究計画に沿って研究を進める予定である。
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