2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on momentum transfer around a rotating cylinder in a flow
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21H01540
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 昌奎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70272515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 回転円柱 / 流体力 / 運動量の伝搬 |
Outline of Annual Research Achievements |
流れ中で回転する円柱または球には流れに対して垂直方向の力(揚力)が働き、完全流体中での揚力は、流れの流速、円柱の回転速度、円柱直径の二乗に比例する。一方、円柱の回転は周りの流体場にも影響を及ぼし、流体中における物体の振動特性を変化させる。回転による流体力の増大と振動特性を変化は、海底掘削を行うドリルパイプの変形を大きくし、ドリルパイプと流体間の共振の発生条件を変化させる。ライザーレス掘削においては、ドリルパイプと流体間の共振を避け、ドリルパイプの変形と振動を一定の範囲内に抑える必要があり、回転による流体力と付加質量の変化を的確に推定することが求められる。本研究では、剛体円柱を用いた水槽実験により、揚力・抗力の法線方向流体力、及び摩擦力の接線方向流体力、並びに円柱周辺の流れ場の詳細を調査し、フレキシブル模型を用いた水槽実験により、円柱の回転による運動特性(固有振動数)の変化を調査し、流れ中で回転する円柱周辺の流れ場、並びに円柱から周辺流体への運動量の伝搬について調査し、そのメカニズムについて考察した。 1. 流れ中における回転円柱周りの流れ場は、円柱の回転によって流れが減速する側及び増速する側共に代表流速の違いにる流速分布の顕著な差は見られず、回転比ごとに評価できることができる。 2. 円柱の回転によって流れが減速する側では、円柱の回転の影響によってレイノルズ応力が増大し、見かけ上の粘性が大きくなる。それによって流体が流れにくくなり、流速分布の全体的な減少する。 3. 円柱の回転によって流れが増速する側では、減速側からの流れが加わり、全体的な流速分布の増大する。また、円柱表面近傍では円柱の回転の影響による流れの乱れが強い層が形成される。その層の内側には減速側からの流れが流入せず、一様流と静止流体中における回転円柱周りの流速分布の線形的な重ね合わせによる流速分布と一致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験機材の調達が遅れ、フレキシブル模型の水槽実験の実施が年度超えになったが(令和5年5月実施)、その他の研究内容は概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進める予定である。流れ中で回転する円柱周辺の運動量伝搬と回転比との関連について定量的な評価を行うため、流速計による高精度で高分解度の流場計測を行う。回転円柱周りの流速分布、レイノルズ応力分布、乱流分布、エネルギー離散における回転速度と流れの流速との関係を調査する。
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