2021 Fiscal Year Annual Research Report
実海域ビッグデータを活用した波浪荷重予測手法の開発
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21H01556
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
岡 正義 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (70450674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 沖 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30773197)
高見 朋希 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AISデータ / 波浪推算データ / 縦曲げモーメント / 波浪荷重長期予測 / 操船影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
全球海域、船長Lが100m以上のワールドワイドを航行するコンテナ船(4,892隻)、オイルタンカー(2,697隻)、バルクキャリア(9,852隻)を対象として、船舶位置データ(AISデータ)及び、風況データを元に推定した波浪データ(波浪推算データ)に基づき、実際に就航する船舶に作用した波浪中縦曲げモーメントの長期予測を行ない、長期最大荷重の統計解析を行なった。統計解析に先駆けて、波浪荷重を推定するための数値計算プログラムを14000TEU型大型コンテナ船の応力モニタリングデータを用いて検証し、目的達成に十分な精度を有することを確認した。統計解析の結果、就航船の縦曲げモーメントは、船舶の荒天回避等の操船影響により、全ての個船において設計標準の波浪発現頻度表を用いた長期予測値を20から50%下回ること,そしてその影響度は大型化に伴って大きくなる傾向にあることを示した.さらに、全就航船の99.9%の船が現行の規則が要求する縦曲げモーメントを下回ることを示した.また、規則要求値に近い大荷重が発生した海域は,コンテナ船及びタンカーは北大西洋が多く,バルクキャリアは相対的にみて北太平洋が多いことをデータ解析により確認した. また、短時間計測に基づいた時間領域波浪推定法を提案し,波向き一定の長波頂不規則波中の船体運動の数値シミュレーションを用いてその有効性を示した.本手法は周波数領域推定法では計測時間が短くなると相対波向きの推定精度が低下する一方で,本時間領域推定法では正確な相対波向き推定が可能であることが分かった. これらの成果により、波浪中での安全運航指針の作成やデータドリブンの合理的設計の実現及び規則開発を実現できる見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標達成に必要なデータの準備を計画通りに行ない、データ解析した結果を学会にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
ビッグデータを用いた設計法の見直しによる船殻重量の軽量化の実現とこれによる環境負荷低減及び経済性の効果を定量化を目指して、確率論的に基づく構造信頼性設計手法の構築を検討する。そのため、データの拡充及び船のサイズや航路・海域に応じた傾向分析を行ない、革新的設計に資する実遭遇海象及び波浪荷重の確率モデルを構築する。 また、現行の船体構造設計では考慮されていない2方向スペクトル波について、荷重の最大値や疲労用繰返し荷重への影響評価を行ない、安全設計に反映するための手法を検討する。
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Research Products
(2 results)