2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of in-situ continuous monitoring methods of marine particles using holography and laser spectroscopy
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21H01557
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 朋子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 研究員 (20806301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Lindsay Dhugal 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 主任研究員 (80344282)
Liu Zonghua 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90844449) [Withdrawn]
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 深海粒子 / ラマン分光分析 / コヒーレント反ストークスラマン散乱 / ホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、深海のマイクロ・ナノサイズ粒子を長期モニタリングするシステム開発のため、「深海運用型装置による粒子濃度の解明」「サブミクロン粒子測定への挑戦」の2つのテーマで研究を進める。 「深海運用型装置による粒子濃度の解明」では、装置の自動計測システムとして、ホログラフィ(光学画像撮影法)とラマン分光分析(化学分析法)の統合手法を提案している。ホログラフィで計測領域(径1cm、長さ20cmの水柱)を高速に連続測定し、粒子を検出したらポンプを止めラマン分光分析を始め、終了したらポンプをまわして粒子を追い出し、次の粒子を待つ、という一連の流れの自動プログラムを作成した。そして、自動計測機構を搭載した2000m耐圧のプロトタイプ装置を試作した。実証試験として、2022年秋にROVに搭載して1000mまでの深海で運用し、海中現場での粒子モニタリングに成功した。試験結果をもとに、より軽量・小型で扱いやすく、電池によるスタンドアロン運用が可能な装置に改良した。さらに、ホログラフィ画像とラマン分光スペクトルの両方のデータを統合することにより、各々のデータよりも代表的な粒子(プランクトン、無機物、プラスチック数種類、岩石)の種別を高精度に分類できる機械学習法を確立し、査読付き論文が1報出版された。 「サブミクロン粒子測定への挑戦」では、英国サウサンプトン大学に出張し、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡を用いて様々な種類・大きさ(数百nmまで)のプラスチックやプランクトンを計測し、測定に最適な条件やパラメータを選定した。また、高速に流れる粒子の形の認識精度を上げるため、ラインスキャン画像から高精度に推定する解析方法や、流路内で光学画像も撮影してラインスキャン画像の補完をする方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「深海運用型装置による粒子濃度の解明」については、当初の計画通り問題なく進んでいる。「サブミクロン粒子測定への挑戦」については、英国の出張先での装置を使用するため、新型コロナウイルス感染症による渡航規制の影響を大きく受けたが、出張が可能になってからは現地で実験を行うことができている。当初は現地の装置に、より高速な計測手法を取り入れようと計画していたが、現地の装置状況を見て、現状のまま測定パラメータや解析法を工夫することで高速化、高精度化を目指すように方向性を変更した。ただ、この変更を行っても当初の目的は遂行できる予定で順調に研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、「深海運用型装置による深海粒子濃度の解明」では、開発手法・装置がロバストに実海域で運用できることを示すため、装置の改良を引き続き進め、運用試験を行う。また、実海域で取得したデータを用い、粒子を精度よく検出・計測するアルゴリズムを構築し、自動計測プログラムを改良する。最終的に技術成熟度レベル(NASAにより定義された技術の成熟度を表すシステマティックな定量尺度)5相当(実空間での実証)まで押し上げることを目標とする。 「サブミクロン粒子測定への挑戦」については、引き続き、高速に流れる粒子の形の認識精度を向上する方法として、ハードウェア(流路の工夫や光学画像の統合)・ソフトウェア(機械学習等を応用)両面から検討を進める。また、実際に海に浮遊しているサンプルを連続計測することを目指し、実海域で存在する状態に近い形として、バイオフィルムなどの有機物を吸着させたマイクロプラスチックなどを測定し検出精度を調べる。
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Research Products
(5 results)