2021 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル時代の施設配置の理論-自己完結,個人情報保護,民主的決定による非効率性-
Project/Area Number |
21H01559
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 教授 (40272687)
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタル行政 / 施設配置 / 組織縦割り / 個人情報保護 / 民主的手続き |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,エビデンスに基づく合意形成を意識し,数理モデルやデータ分析を通して,デジタル時代を意識し地方での公共施設の配置について理論化や数量分析することにある. それを踏まえ,令和3年度では次のような研究を展開した. (1)「自己完結による非効率」については,住民の越境施設利用から見た自治体間依存関係を定量化し,自治体間の相互依存関係と相手自治体の分布からみた空間構造を明らかにした. (2)「個人情報保護による非効率」については,時系列の行政区域データから,消滅情報を可視化し,広域連携や市町村合併の視点から,自治体間の地理的隣接関係の変貌を明らかにした. (3)数理最適化の視点から,各種サービス事業における施設の適切な配置に関する議論を行った.そして,サービス提供体制のモデルとその評価方法を構築するための参考となるように実データを用いた解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)施設配置や自治体の自己完結性の観点から見た非効率を論じるための数理モデルの構築,吟味,およびチューニングに資する成果を得ている. (2)同心円都市での人口密度と,負の二項分布という施設密度論を橋渡しできる理論の構築を試みている. (3)実データを用いて,必要とされる情報の共通化,粒度などを調査しており,この結果をもとに,施設配置のモデル作成を試みている. (4)豊田市で運営されていたカーシェアリングサービスにおける,適切なステーションの位置と規模について,金融工学などで用いられているリスク指標を用いた分析と考察を行っている. (5)現場実証を意識し,茨城県,つくば市,つくばみらい市,潮来市,土浦市,北海道天塩町,長野県坂城町,などの自治体,関東鉄道バス,しなの鉄道,東武鉄道などと定期的に情報交換している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)施設アクセシビリティや地域分断の観点から,人流ビッグデータの活用と限界にも着目しながら,都市機能複合化でのボトルネックの解明,地域課題に応じたデータ秘匿化方法の提案,そして民意と合理性とのトレードオフの基礎理論の提示に向けた検討を行う. (2)民主的決定方法の一つを反映するポピュラーマッチングの構造,マッチングの種類やバリエーションを調査し,また,簡単なネットワーク上の配置の解の構造を探求する. (3)過疎地での活性化に向けて,景観など地域性を反映した観光に関する広域連携について研究を進める. (4)つくば市内のシェアリングサービスの現状分析についても取り組む.
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