2021 Fiscal Year Annual Research Report
マルチアレイ微動観測の大量データに基づく地下構造モデルのアップコンバート技術開発
Project/Area Number |
21H01588
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
地元 孝輔 香川大学, 創造工学部, 准教授 (40713409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 浩明 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00212291)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地下構造モデル / アレイ微動観測 / 地震波干渉法 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチリニアアレイ微動により取得したテストデータを用いて解析を進め、アレイ微動の自己相関関数、相互相関関数、単点相互相関関数を推定することで、それらの関数の空間変化を捉えた。この空間変化は、すでに多く利用されている上下水平動スペクトル比の卓越周期の空間変化とよく対応していることからその妥当性が確かめられる。それぞれの空間変化量をストレッチング法により定量的な速度変化率としてそれぞれ変換した。変化率は既往の解析手法から推定される速度変化率とも概ね一致することを確認し、アレイ微動によるアップコンバート技術の適用可能性が高いことを確かめた。また、地震動についても高密度に展開されている観測網の記録を使用して、近地地震記録の自己相関関数とレシーバー関数を推定し、それによる空間変化を捉えた。自己相関関数の推定においては、対象とする堆積層からの反射波を明瞭に抽出するために適切なスムージングのバンド幅を決定する必要があることを明らかにした。これは、S波の自己相関関数だけでなく、P波の自己相関関数の推定においても重要なデータ処理手法であることがわかった。レシーバー関数法では基盤での変換波のみならずその多重反射波を同時に解析すること、さらにはS波とP波の自己相関関数も同時に解析することで、当初の目的であったS波速度と基盤深度を推定するのみならずP波速度構造の同時推定の可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチアレイ微動のテストデータの分析とそれによる提案技術の適用可能性の検討を進めてきたところおおむね計画どおりに進捗している。次年度以降の現地観測データへの適用のための準備も整えてきた。微動のみならず地震記録の自己相関関数とレシーバー関数を用いた分析の検討においては特に成果が出たと考えている。このことは今後の本研究目的であるアレイ微動への適用においても応用可能性が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、すでに取得しているデータ分析を通じて、マルチリニアアレイ微動により空間速度変化を推定する手法の開発に取り組んできた。また、既存の強震観測記録へも適用し、自己相関関数やレシーバー関数によってサイト特有の関数量によって基盤深度を推定できることを明らかにしてきた。今後は未知のサイトにおいて新たに取得するデータについて開発技術を適用し、その適用性について検討する。そのため、現地調査を実施し、マルチアレイ微動観測を行い、空間的に大量のデータを取得する。そのデータはすでに開発した計算コードを用いて、空間速度変化量を推定する。推定される速度変化量から、モデルの変化量を推定し、モデルのアップコンバートを試みる。モデルが十分に明らかでないサイトの現地データの分析結果を検討し、手法の妥当性についてさらなる検討を進めていく。
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