2021 Fiscal Year Annual Research Report
Chemistry of Lithium-ion conducting sulfide-based solid electrolyte by solution process
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21H01610
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
忠永 清治 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90244657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROSERO CAROLINA 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50791381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硫化物固体電解質 / 全固体電池 / 液相法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リチウムイオン伝導性硫化物固体電解質の液相法での合成における化学を総合的に明らかにすることを目的としている。 本年度は、Li2S、P2S5およびLiClなどを出発原料、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランを溶媒して用いたサスペンション法およびサスペンション法と溶解・再析出法を組み合わせた液相法によるLi3PS4およびLi6PS5Clなどの硫化物系固体電解質の合成について検討をおこなった。 アセトニトリルを溶媒に用いたLi2SとP2S5を出発原料とするサスペンション法の合成においては、前駆体として得られるLi3PS4とアセトニトリル分子からなる錯体の結晶構造解析を行い、その結晶構造を明らかにした。この錯体は220℃に加熱した場合に生成する結晶相の生成メカニズムを検討したところ、この前駆体錯体が、室温で安定なγ―Li3PS4よりも、高温での安定相であるβ-Li3PS4相に比較的類似した構造を有していることが、錯体の熱分解によって高温安定相であるβ-Li3PS4相が生成しやすい理由であることを明らかにした。 一方、Li2S, P2S5、LiClをアセトニトリル中でサスペンション法により前駆体錯体を含むスラリーの作製を行い、さらに、溶媒の添加による溶解―再析出法を組み合わせることにより、Li6PS5Cl結晶がられることを見出した。また、溶解再析出法において、非イオン性の界面活性剤を加えることにより、粒径を制御したLi6PS5Clを作製することができることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前駆体である錯体の構造および、その錯体から生成する結晶相と錯体構造の関係を明らかにするなど、硫化物固体電解質の液相合成における化学反応における新たな知見を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に引き続き 1.硫化物前駆体の液相中での反応の基礎的理解 2.溶液中化学種および前駆体錯体の構造と最終的に得られる結晶構造との相関の解明 を中心に検討を行う。 物質系としては、Li2S-P2S5系およびLi2S-P2S5系に第3成分、特に、ハロゲン化リチウムを加えた複合系について検討を行う。反応の基礎的知見を得るために、様々な溶媒について、P2S5、Li2S、LiCl、Li3PS4、その他の系のLi化合物の溶解度を決定や、反応過程の追跡を行う。 一方、液相法の特徴を生かして、固相法では合成が困難であると予想される系において、新規結晶相あるいは新規非晶質固体電解質の合成と評価に取り組む。
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