2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of heavily impurity doped Q-carbon high-Tc superconductor by an adjusted pulsed laser annealing technique
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21H01624
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村岡 祐治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10323635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Qカーボン / ダイヤモンドライクカーボン / 膜厚 / ラマン散乱測定 / sp3 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素ドープQ-カーボンを作製するにあたり、まずはノンドープQカーボンの作製条件を決定することから研究を始めた。Qカーボンを作製するための実験パラメータは、原料炭素膜のsp3量、照射レーザーのエネルギー密度、基板の熱伝導度と原料膜の膜厚である。はじめの三つ(sp3量、レーザーのエネルギー密度、基板)についてはこれまでに得られた適切値に固定した。具体的にはsp3量は70%、レーザーエネルギー密度は0.5-1.2 J/cm2、基板はサファイアである。本研究では残りの一つである膜厚に着目し、Qカーボンを作製するにあたり適切な膜厚の範囲を明らかにすることを目指した。実験では、膜厚が20-600 nmの範囲のダイヤモンドライクカーボン(DLC)原料膜を作製し、ラマン散乱測定により膜厚に伴うDLC膜のsp3量の変化を調べた。その結果、DLC膜のsp3量は、膜厚20 -50 nmでは38%、その後膜厚が増大すると減少し、200 nmで20%、300 nmより厚くなると5%以下となることが分かった。Q-カーボンを作製するためにはDLC原料膜のsp3量が20%以上必要であることを考慮すると、DLC原料膜の膜厚は200 nm以下であることが望ましいことがわかる。今後は、光電子分光法による電子状態の実験などにより膜厚によるsp3量の変化及びその起源を明らかにする。今年度得られた膜厚情報はQ-カーボンの作製法確立に遊泳黄な情報となる。また、ホウ素ドープQカーボンの作製にも適用できる。ホウ素ドープQカーボン超伝導作製の重要な基礎情報として機能する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画はホウ素ドープQカーボンの作製条件を決定することであった。本年度はQカーボンを作製するために重要といわれる4つの実験パラメータのうち、最後の一つである膜厚の適正範囲を決定することができた。この条件はホウ素ドープQカーボンにも適用ができる。本年度の研究により、KrFエキシマレーザー(波長248 nm)を用いてホウ素ドープQカーボンを作製するための実験パラメータをほぼ決定することができた。当初の計画通りであり、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた実験条件を活用してホウ素ドープQカーボンの作製に取り組みたいところだが、問題が生じている。実験に不可欠なレーザーガスが戦争や新型コロナの影響により入手困難になっている。現在発注しているが、1年待っても入荷できない可能性が高いといわれている。来年度はガスを使用しないレーザーシステムを立ち上げ、そのシステムでQカーボンを作製する最適な実験条件を見出す予定である。
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