2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly sensitive and selective VOC sensing technology based on the dynamic adosorption/combustion behavior
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21H01626
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兵頭 健生 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (70295096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 太郎 長崎大学, 工学研究科, 助教 (10524928)
清水 康博 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20150518)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガスセンサ / 吸着燃焼式 / ダイナミック応答 / 触媒 / 酸化活性 / 吸着脱離特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2種類のアルミナ粉末(γアルミナおよびαアルミナ) にPtを担持した触媒を作製し,その組成の違いがVOC応答特性に与える影響を明らかにした。まず,吸着燃焼式マイクロガスセンサの動的なエタノール応答値は,γアルミナおよびαアルミナの割合が1:1で最大値を示した。γアルミナの表面積はαアルミナに比べて大きいことから,γアルミナ表面へのエタノール吸着量はαアルミナ表面に比べてかなり多い。ただし,Pt担持量は等しいため,αアルミナのほうが単位表面積当りのPt担持量は多い。さらに,αアルミナのほうが熱伝導性が高い。以上の物性が複雑に影響し,上述した混合割合で良好な特性を示したと考えられる。 γアルミナにPtと酸化物(MO,CeO2あるいはBi2O3)を共担持した触媒について,エタノールの酸化活性や吸着脱離特性から応答メカニズムの解明を試みた。γアルミナだけだと,120℃以上でエタノールは酸化され始め210℃で転化率が100%となる。しかし,部分酸化生成物として,ジエチルエーテル,アセトアルデヒドおよびエチレンが生成し,それらが発生した温度域では完全酸化されていない。Pt and/or MOを担持すると,転化率が100%になる温度が低下して部分酸化生成物の生成量が減少すること,PtとCeO2の共担持が効果的であることを確認した。吸着脱離特性の結果も含めて検討した結果,MOのみ担持するとエタノール転化率は改善するが,急速昇温してもエタノールおよび部分酸化生成物の酸化速度がかなり遅いため低い応答しか示さないのに対して,PtとMO(特にCeO2)の共担持体は,急速昇温しても吸着種をより効率的に完全酸化できるため大きなダイナミック応答を示すと考えられる。 なお,触媒材料と参照材料を色々と組み合わせてセンサを作製し,被検ガスの選択性の改善を試みたが,現時点では十分な選択性が得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した通り,吸着燃焼式ガスセンサが作動する際の基礎的な応答メカニズム(被検ガス:エタノール)や触媒担体の比表面積や熱伝導性がセンサ特性に与える影響については,徐々に明らかになっている。それらの知見に基づき,触媒活性や吸着脱離特性をベースとして応答特性を改善するために触媒表面の改質を施し,センサ特性に選択性を付与するための基礎的検討を実施してきた。それらの実施状況については,概ね順調に進展している。それを踏まえたうえで,現在,アセトンに選択的なセンサの開発に向けて研究を進めているが,これがかなり難しい挑戦的課題となっている。Pt担持アルミナについてアセトンとエタノールの酸化活性を評価して基礎的特性を明らかにしながら,それらの材料を触媒材料および参照材料に用いてセンサ特性を評価したところ,触媒材料に比べてPt担持量の少ないPt担持アルミナを参照材料として用いることで,特徴的な動的センサシグナルが得られることを確認した。今年は,表面組成の再検討を行い,担持貴金属と担持酸化物の組み合わせを変えた(あるいは異なる貴金属を共担持した)材料を調製し,それらの触媒活性や吸着脱離特性を明らかにしつつ,そのデータに基づいてセンサを作製することで,アセトンに対する感度と選択性を改善することで,成果が出ると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず,Ptの担持量を制御したアルミナ材料を再検討する。触媒材料と参照材料として,Pt担持量の異なるPt担持アルミナを組み合わせ,アセトンとエタノールに対するセンサ応答特性を評価する。組み合わせの違いが応答特性に及ぼす影響,応答特性と触媒活性との関連性を明らかにするとともに,吸着脱離特性も明らかにしつつ,そのメカニズムを明らかにする。次に,Ptと酸化物との組み合わせも再検討し,それぞれの担持量や担持方法がどのように触媒活性や吸着脱離特性に影響を与えるかを明らかにする。得られたデータに基づいて,Pt担持アルミナとのセンサ応答特性の違いを明確化する。 さらに,Pt以外の貴金属とPtとの共担持を検討する。まずは,Pt担持量を一定にした状態で,各種貴金属を同時(あるいは連続的)に担持し,その効果を確認する。得られたデータに基づいて,双方の量を変えた触媒材料を作製し,そのセンサ特性を評価する。さらに,そのデータに基づいて「もう一種の貴金属を担持した3貴金属担持アルミナ」「Ptの担持をなくして他の2種類の貴金属を担持したアルミナ」「Pt以外の他の3種類の貴金属を担持したアルミナ」などを調製し,それらのセンサ特性を評価する。同時に,できる限りの触媒活性や吸着脱離特性を明らかにする。 以上のデータを得たうえで,触媒材料や参照材料を製膜する際に添加物を付与することで,それぞれの膜の微細構造を制御する。さらに,製膜時に“触媒材料を含むペースト”の粘度や触媒材料の添加量を制御することで触媒膜の膜厚をコントロールし,それらがセンサ特性に与える影響を明らかにする。さらに,触媒活性や吸着脱離特性のデータに基づき,触媒膜や参照膜の表面に他材料を製膜して触媒活性を制御することで,センサ特性のさらなる向上を目指す。 以上の結果に基づいて,吸着燃焼式マイクロVOCセンサの設計指針を得る。
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Remarks |
上記のWebページでは,主にガスセンサに関する全研究をダイジェストに紹介している。そのうち,本研究に関する資料を1スライド作成し,紹介した。
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