2022 Fiscal Year Annual Research Report
革新的近赤外蛍光体の劣化機構解明と高性能バインダの開発による超広帯域LEDの実現
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21H01630
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 隆史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (50357894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正井 博和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10451543)
許 健 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 若手国際研究センター, ICYS研究員 (10889918)
芦葉 裕樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90712216)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 次世代産業用光源 / 超広帯域LED / 新規近赤外蛍光体 / 高耐久性バインダ材料 / デバイス化プロセス開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標として据える『次世代産業用超広帯域LED』の実現に至るためには、以下のような課題を解決する必要がある。課題要素:① 高量子効率蛍光体の開発、② 蛍光体の長期安定発光のための技術開発、③ 高輝度化のための素子化技術開発、④ 耐UV性・耐熱性・高透明性・加工性に優れたバインダ材料の開発、⑤ 高熱伝導材料の採用による排熱技術の開発、⑥ 光散乱を抑え、高い光取出し効率を実現するための知見と技術開発など。そのため、本年度は、昨年度の結果を踏まえ、以下の具体的課題に取り組んだ。【1】「蛍光体の熱劣化機構の解明と劣化抑制技術の開発」:蛍光体の熱劣化には酸素や水分は関与しておらず、配位子場中の希土類イオンの熱化学安定性(おおむね300℃以上において徐々に価数変化が進行する特性)が支配的な要因であることを明らかにした。また、それに合わせて、リモートフォスファの形成プロセスの温度を300℃以下に抑えるための方策を検討した。【2】「ガラス科学の深化とそれに基づく耐UV/高透明性バインダの新規開発」:昨年度開発された低温溶融性の酸化物ガラス(ガラス転移温度:250℃以下の低融点ガラス)を基に、組成およびプロセス条件を検討し、薄膜化技術の醸成を進めた。また、当該ガラス薄膜をマトリクスとした蛍光体分散膜(板)を調製し、蛍光体の分散特性、蛍光特性、および、熱安定性の評価を進めた。 【3】「近赤外蛍光体のさらなる長波長化と量子効率向上を目指した材料探索」:LaAlO3 ペロブスカイトにおいてNi の 2 価状態を安定化させるための検討を進め、900-1400nmにおいて非常に広帯域の発光を示す蛍光体の開発に成功した。さらに、この蛍光体のクエンチ温度が600K程度と比較的安定であることも確認した上で、近赤外プローブとしての応用が可能となることも実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて各要素技術の検討に取り組んだ。今年度は蛍光体の熱劣化機構の解明と劣化抑制技術の開発に目処を立て、また、その要求に適合する新しい低融点ガラスの開発に成功した。また、近赤外蛍光体の開発に関しても着実な展開が図られている。以上のことから、全体としておおむね順調な進捗が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗において当初計画に沿って順調な研究展開が図られているが、次年度は最終年度となることからさらに研究を加速させ、当初目標の達成を目指す。
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