2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of removable adhesive technology based on photo- and sound-triggered topological transformation of polymers
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21H01632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本多 智 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10711715)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子トポロジー変換 / 光反応 / 超音波 / 高密度焦点式超音波 / 解体性接着剤 / 積層造形 / 3Dプリンティング / 液槽光重合式3Dプリンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料の物性は、従来、化学組成の改変によって制御されてきた。それに対して最近、高分子形状を外部刺激によって可逆的に変換することで物性を制御する新たな方法論が確立しつつある。なかでも、光刺激には意図した瞬間に局所的に作用させられる利点があるが、材料深部に作用させることが困難であるという問題も抱えていた。そこで本研究は、原理的に材料深部にも到達しうる音波に応答する物質と、その物質の応答に適したデバイスを開発することで、この問題を解決することを目指した。 初年度には、超音波素子の製作をすすめ、材料中の微小領域にエネルギーを集中できる素子の製作に至った。また、結合解離エネルギーの小さいイミダゾール間の共有結合を持つヘキサアリールビイミダゾール(HABI)が導入された様々な高分子物質を合成し、これらが超音波に応答することを突き止めた。 これらを踏まえて本年度には、材料深部におけるピンポイントな応答がとりわけ重要となる架橋高分子へのHABIの導入と超音波による物性制御の達成を目指した。この研究目標の達成に向けて、先ず、液槽光重合(VP)式3Dプリンティング(3DP)法に基づくHAB含有架橋高分子の造形法を開発した。HABIは光刺激に応答してラジカル種(TPIR)を生成する特徴を持つが、驚くべきことにTPIRはVP-3DPで進行する光ラジカル重合では消費されず、得られた造形物はHABIを含む架橋高分子であった。またこの造形物に超音波を照射したところ、高出力では狙った位置で造形物を解体でき、低出力では照射部位の力学物性を制御できることが分かった。すなわち音の有効利用による時空間局所的な高分子形状変換を達成し、その方法論を力学物性改変技術および材料解体技術として確立することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①光・超音波応答性物質と超音波素子、②光と音による高分子形状変換法、さらに③材料表面・深部における接合箇所の光と音による剥離技術の開発という三つの段階で構成されている。初年度には①、本年度には②と③の一部とをそれぞれ達成しており、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、予定どおりに光と音の協同的に利用することで可能となる新たな高分子形状変換法の開拓を進める。また、当初の計画以上に進展している現状を踏まえ、熱と音による協同的高分子形状変換法など更なる探索的・発展的課題の検討についても同時に進める。
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