2022 Fiscal Year Annual Research Report
架橋ポリマーアロイ/フィラー複合材の反応誘起型相分離とフィラー界面配列の熱力学
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21H01640
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岸 肇 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60347523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エポキシ / ポリマーブレンド / フィラー / 複合材 / 界面 / 溶解度パラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
エポキシ(Ep)重合前は相溶していたポリエーテルスルホン(PES)がエポキシ/アミン反応(高分子化)のため相分離し、Epリッチ相とPESリッチ相を形成する。予め均一分散させたフィラーは、硬化樹脂中にてフィラー種に依存し選択配置場所が異なった。すなわち、ビニルシラン処理シリカはEpリッチ相に配置され、一方、ビニルシラン処理アルミナはEpリッチ相側から移動したように相分離界面付近に配列した。フィラー種により選択配置場所が変化した理由を探るべく、フィラーと反応過程のEp成分のハンセン溶解度パラメータHSPを求め、反応過程での成分間相互作用の変化を考えた。ビニルシラン処理シリカは、相分離直後のEpリッチ相とのHSP距離がPESリッチ相と比べて短く、すなわちEpリッチ相の方がPESリッチ相よりも親和性が高い。そのため、相分離後のシリカ粒子はEpリッチ相に分散した状態でゲル化し、硬化樹脂中のEpリッチ相内に配置されたと考えた。一方でビニルシラン処理アルミナは、シリカと比較するとマトリックス両成分とのHSP距離が同等程度に遠く親和性は高くないが、相分離開始段階では、PESリッチ相より分子量が相対的に小さく混合の自由エネルギーが低いEpリッチ相側に選択配置したと思われる。但し、Ep/アミン反応進行(分子量増加)につれEp相の相互作用半径は小さくなり、アルミナ粒子とEpリッチ相のRED(HSP距離をEp相の相互作用半径で割った値)が上昇する。つまり、Ep重合反応に伴いアルミナ粒子とEpリッチ相との混合の自由エネルギーが増加し、アルミナ粒子はEpリッチ相から排除される方向に移動する。一方、硬化温度(150℃)よりTgが高いPESリッチ相はEpリッチ相より先にガラス化し、Epリッチ相から外側へ移動したアルミナ粒子はPESリッチ相との界面付近で動けなくなり硬化に至ると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応(重合)誘起型相分離を生じるネットワークポリマーブレンドの反応過程・相分離過程における各成分のハンセン溶解度パラメータを評価し、フィラーとマトリックス成分との相互作用変化を考察し、硬化後のフィラー存在場所と結び付けるアプローチが、熱力学速度論的考察として新しいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィラー表面処理シランカップリング剤種を拡張し、また、硬化剤種や硬化条件も複数検討することにより、2022年度で行った考察の妥当性を検証し、エポキシポリマーブレンド中のフィラー選択配置機構解明をより普遍的なものへと近づける。
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Research Products
(17 results)