2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative marine biodegradable polymer processing machine and technology for social implementation
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21H01689
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶋 正裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (60185254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引間 悠太 京都大学, 工学研究科, 助教 (50721362)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋分解性ポリマー / 生分解性ポリマー / 高分子成形加工 / 加水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋生分解性ポリマーの社会実装化を目指すものである。変性セルロースナノファイバー(CNF)などバイオマス由来の樹脂補強剤とのナノコンポジット化や複数の海洋生分解性ポリマー同士のブレンド化により、海洋生分解性を保ったままでの物性改質や新機能の創出を図り、かつ海洋生分解性の計測と評価手法ならびに機能発現に適した成形加工手法(射出成形・微細発泡成形)の開発を行っている。 予定していた高圧水中下での生分解樹脂の加水分解の実験は、装置設計導入の遅れがあり、次年度に回し、今年度はPHBH単体ならびにPHBH/CNFの結晶化挙動の測定や、射出成形実験を実施し以下のような結果を得た。 1)PHBHを150℃以上170℃以下の間で熱処理した場合、結晶構造の融解後もポリマー鎖群に秩序構造が残り、その後の冷却過程で、結晶化温度が通常の結晶化温度(60℃)から高温側(100℃)にシフトするという、結晶化を促進するメルトメモリー効果があることを、レオロジー測定・熱分析を通して明らかにしている。また、150℃以上170℃以下の間で熱処理し結晶化させた場合、180℃以上で熱処理して結晶化させた場合に比べ、得られる結晶サイズが微細化することも明らかにしている. 2)CNFをPHBHに添加することにより、180℃で熱処理した場合でも、結晶化速度を上げることができ、また、引張強度を無添加のときの2倍に増加することができることを明らかにしている。 3)射出成形装置でのポリマーの熱分解挙動を近赤外分光法を使って直接計測できるシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧水下で生分解性樹脂の加水分解挙動をNIR等で可視化観察可能とするための可視化高耐圧セルの設計を行い実験を実施する予定であったが、コロナ感染のために設計依頼をする海外企業との打ち合わせや設計自体が進められなかった。設計製作可能な日本企業の選定を行うなど、耐圧セルの設計仕様の再検討を行ったため、装置の導入が研究初年度では間に合わず、高圧セルによる実験計画は大幅に遅れた。一方で、射出成形装置に装着できる耐圧・耐熱性の高い近赤外プローブを開発し、生分解性樹脂の装置中での分解挙動をインラインで測定できる装置の開発ができた。また、海洋分解性の樹脂であるPHBHの結晶化挙動等の物性の測定と、PHBHとセルロースナノファイバーの発泡射出実験を前倒して進め、メルトメモリー効果の存在など興味深い現象の発見や、セルロースナノファイバーの効能を確認できるなどの期待以上の成果も得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧可視化セルを設計導入し、生分解性樹脂の加水分解挙動の実験を実施し、加水分解反応モデルの導出を行う。また、PHBHのメルトメモリー効果に関して、示差型高速熱分析装置を使って、結晶化速度との関係を定量化する研究を進める。 また、近赤外プローブの耐熱耐圧性をより向上させ、最終年に、PHBHの実装置中での分解挙動を観察実験を実施する。そのうえで、PHBH/CNFのナノコンポジットの発泡射出成形実験を実施し、実成形におけるCNFの効果・PHBHの分解挙動を評価する。
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