2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative management strategy for pharmaceutical continuous manufacturing processes
Project/Area Number |
21H01704
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 学 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30263114)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 尚弘 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60735504)
杉山 弘和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70701340)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 医薬品 / 連続生産 / モデル / デザインスペース / 制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品連続生産を対象として,医薬品の品質と生産性を最大限に引き上げられる革新的な管理戦略を構築すること,およびその管理戦略を実装するために必要な方法論と技術を開発すること,が本研究の目的である. 2021年度には,まず,連続生産プロセスのモデルとシミュレーション,および国内外における技術動向について情報収集を実施した.原料供給速度の変動が安定した医薬品連続生産を妨げる要因のひとつであることから,粉体の連続供給に利用されるツインスクリューフィーダ(TSF)に注目し,供給される粉体の特性(粒子径分布,安息角など)とTSFの運転条件を様々に変更した実験を行い,そのデータからTSFのモデルを構築した.また,連続生産を要素として含む固形剤製造プロセスのシミュレーションモデルの構築を進めると共に,様々な装置構成を網羅的に表現できるスーパーストラクチャを用いたモデルについて,その精度向上や計算アルゴリズムの改良に取り組んだ.さらに,複数工程からなる連続生産設備の実験データを用いて,製品品質を予測するための統計モデルを構築し,工程ごとのモデルを構築して繋ぎ合わせるよりも,全体を一気通貫にモデル化する方が高精度な予測ができることを明らかにし,そのモデルを用いて,柔軟な品質保証を実現するために運転可能領域を最大限に活用できるデザインスペースを構築するアルゴリズムを開発した.その上で,デザインスペースが逸脱するリスクを最小化するために,滞留時間分布モデルを用いて,上流工程での実績値に基づいて下流工程での設定値を変化させることのできるアルゴリズムを開発した.これらの要素技術開発は,医薬品連続生産の革新的な管理戦略の基盤となるものである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都大学,東京農工大学,東京大学の3拠点において,研究者が協力しつつ,要素技術の開発に取り組み,順調に研究成果をあげている.
|
Strategy for Future Research Activity |
連続生産を取り巻く状況は,研究開始当初からさらに進んでいる.2021年6月にはエーザイ株式会社が連続生産技術を用いた製造ラインを国内で初めて立ち上げた.このニュースは,プロセス設計において,連続生産が実際の選択肢となったことを国内に強く印象付けた.今後,工程ごとの精緻な物理モデルの構築に取り組みつつ,連続生産を要素として含む固形剤製造プロセスのシミュレーションモデル構築を進める.スーパーストラクチャを用いたモデルについては,ソフトウェアとしての実装に繋げていく.さらに,連続生産での製品品質保証と生産性向上を実現するために,デザインスペースの構築方法,制御システムの設計方法,異常検出システムの設計方法の開発を進める.
|