2021 Fiscal Year Annual Research Report
C-O結合の表面活性化法を基盤とした新規クロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
21H01712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 雄杰 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00761412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | C-O結合 / 表面活性化 / 再生可能資源 / 不均一系触媒 / 加水素分解 / 脱炭酸脱水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、担体表面におけるC-O結合活性化法を基盤として、フェノール、アルコールあるいはエーテル類と種々の求核剤、特に炭素求核剤とのクロスカップリング反応を開発する。2021年度はメタリン酸塩担体によるC-O結合活性化能を評価するために、おもにメタリン酸アルミニウム担持白金触媒を用いたアルコールおよびエーテルの加水素分解反応を行った。本触媒系を用いると従来系に比べ低温・常圧といった温和な条件下でアルコールおよびエーテルの加水素分解反応が進行することが明らかとなった。メタリン酸塩担体はフェノールのC-O結合活性化に有効であることから、Ni、Pd、Ptなどの金属をメタリン酸アルミニウムに担持した触媒を用い、フェノールと種々の炭素求核剤、例えばtrimethylaluminum, methylmagnesium bromideなどの有機金属試薬、および末端アルキンとのクロスカップリング反応を試みたが、反応は進行しなかった。また、再生可能資源の有効利用という観点から、エステルの加水素分解反応に関する研究も行い、担体によるC-O結合の活性化という概念のもと開発した担持白金触媒が、極めて温和な条件下でエステルの加水素分解反応を触媒することを見出した。エステルの変換反応のみならず、再生可能資源である油脂類から容易に入手う可能なカルボン酸の脱炭酸脱水素反応の開発にも成功した。上記加水素分解反応あるいは脱炭酸脱水素反応は再生可能資源から燃料あるいは有用化成品を合成する重要な手法になりうるために持続可能社会の実現に貢献するものであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は担体表面によるC-O結合活性化能を検討するために、アルコール、エーテルあるいはカルボン酸の加水素分解反応を中心に検討を行った。本研究で開発した触媒は従来系に比べて極めて温和な条件下で上記加水素分解反応を促進することが明らかとなり、触媒担体によるC-O結合活性化の有効性がある程度実証された。これらの成果に関し、現在論文発表を行うために準備を進めている。また、研究当初には予期していなかったカルボン酸からアルケンへの脱炭酸脱水素反応も開発できた。よって、当初目的としていたクロスカップリング反応はまだ進んでいないものの、担体によるC-O結合活性化に関する知見は蓄積してきており、本研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
メタリン酸アルミニウム担持白金触媒を用いたフェノール、アルコールあるいはエーテルの加水素分解反応に関して、分光学手法により反応機構を検討する。ここで得られた知見をもとに上記化合物と種々の炭素求核剤とのクロスカップリング反応を検討する。 研究当初予期していなかったエステルの加水素分解反応、カルボン酸の脱炭酸脱水素反応に関しても引き続き触媒系の最適化および反応機構の検討を行う。「再生可能資源を原料とする持続可能合成化学の開拓」という本研究の目的に沿うことから、エステルあるいはカルボン酸を原料とする反応の開発も精力的に行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)