2021 Fiscal Year Annual Research Report
Rapid carbon-heteroatom bond formation based on elucidation of the principle of gold nanoparticle-acid-base cooperation
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21H01719
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三浦 大樹 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (20633267)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 担持Au触媒 / 協働触媒作用 / 固体酸塩基 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は金ナノ粒子と固体表面の弱塩基が協働することによって芳香族C-H結合のシリル化が進行し、界面活性剤やシリコーンの原料として付加価値の高い有機ケイ素化合物を効率的かつ環境調和的に与えることを明らかにした。本触媒系はsp2C-H結合を含むさまざまな芳香族化合物が適用可能で、対応する有機ケイ素化合物がそれぞれ良好な収率で得られた。詳細な速度論的反応機構解析をおこなった結果、Auナノ粒子によるシリルカチオンの形成とSiO2担体によるその安定化が効率的な反応のカギとなっていることを明らかにした。また医薬品等の合成中間体として有用な有機ホウ素化合物の合成に対して、表面酸性質を有する金属酸化物に担持したナノ粒子触媒が極めて有効であることも明らかにした。興味深いことに、従来の担持金属触媒では担体材料の比表面積が大きい場合に触媒活性が高くなる傾向が多く見られるのに対し、本反応に対しては表面積が小さい担体を用いた場合に触媒活性が大きく向上した。その原因について詳細に検討したところ、その触媒活性が表面酸密度に支配され、表面積の低下に伴う酸密度の上昇が触媒活性の向上に寄与していることを明らかにした。これは金ナノ粒子と酸点を近接して存在させることが反応の効率化に有効であることを示唆しており、今後の多元素協働型触媒の重要な設計指針の一つになると考えられる。また、こうした効率的な協働触媒作用の発現のために有効と考えられる低比表面積の担体材料に対する金ナノ粒子の新しい担持手法についても詳細に検討を行い、極めて表面積が小さいリン酸塩に対して粒径の小さな金ナノ粒子を高分散に担持する手法の開発にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は担持Au触媒を用いる芳香族化合物のC-H結合シリル化の検討を中心に行なった。本反応に対する触媒および反応条件の最適化や反応機構解析が順調に進み、計画通りに論文発表に至った。さらにC-O結合のボリル化についてAuナノ粒子と金属酸化物の協働触媒作用について詳細な検討を行い、酸密度が触媒活性に大きく影響するという新しい知見を得た。さらに表面積の極めて小さい金属リン酸塩にAuナノ粒子を固定化する新たな手法の開発にも成功するなど当初の予定通りに研究が進行しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き担持Auナノ粒子触媒を活用した炭素―ヘテロ元素結合形成反応とそれに有効な触媒開発を検討する。予備的な検討によりこれまでに担持金触媒が酢酸アリル誘導体や炭酸プロパルギルエステル誘導体のシリル化に高活性を示すことを明らかにしており、これらの反応における触媒構造の最適化、反応条件の最適化、基質適用範囲の調査および反応機構解析を詳細に検討する予定である。さらに、Auナノ粒子表面を金属酸化物で修飾した種々の触媒を調製し、その金属種、修飾量などが酢酸アリル誘導体のボリル化やシリル化に対する触媒活性へ与える影響を詳細に検討する予定である。
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Research Products
(8 results)