2022 Fiscal Year Annual Research Report
バイオアクティブペプチド界面を利用したミグラソームの機能解析
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21H01726
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大河内 美奈 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70313301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 祐圭 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (60533958)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生体膜小胞 / ミグラソーム / ペプチド / 細胞遊走 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞がその移動の軌跡を示すようにリトラクションファイバーの交点などに形成する大きさ1μm程度の生体膜小胞であるミグラソームの機能解析を目的とする。前年度までに、ペプチド修飾基板を用いたミグラソーム機能解析プラットフォームを構築してきた。本年度は、このペプチド修飾基板を用いたミグラソーム分画法を活用して、炎症細胞の情報伝達について検討した。炎症誘導法の一つである IL-6アンプ誘導した細胞の情報伝達について、ミグラソームに着目した解析を行った。IL-6を含めた炎症性サイトカイン3種を添加して炎症誘導した。IL-6 アンプ誘導した細胞が形成するミグラソームには、非誘導条件と比較してIL-6 を多く含むことが、免疫染色および遺伝子発現解析により示唆された。また、ペプチド修飾基板上での細胞培養後、細胞を剥離して洗浄し、基板上に残存したミグラソームを保持した基板に新たに細胞を播種すると、細胞が遊走する際に残存ミグラソームを取り込む様子が観察された。そこで、IL-6アンプ誘導した細胞が形成したミグラソームを保持した基板上に、非誘導細胞を播種した。その結果、ミグラソームを取り込んだ細胞においてIL-6発現量が有意に上昇し、ミグラソームを介した情報伝達により炎症を誘導できることが示唆された。これらの結果より、IL-6アンプ誘導した細胞の情報伝達において、ミグラソームを媒介した局所的な炎症誘導機構が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、細胞が培養面上に形成する大きさ1μm程度の小胞ミグラソームの機能解析を目的としており、本年度は炎症を惹起した細胞が形成したミグラソームを基板上に捕捉し、これを取り込んだ細胞において炎症誘導が確認された。これより、近接細胞におけるミグラソームを介した局所的な情報伝達機能が示され、意義の大きい知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ミグラソームを介した近接細胞間の情報伝達について、プロテオーム解析などの網羅的な手法について検討し、さらに解析を進める。
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