2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular spinning of nanofiber proteins
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21H01727
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 聖人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70750602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 克敏 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50302956)
南畑 孝介 九州大学, 工学研究院, 助教 (90648586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノファイバータンパク質 / タンパク質ポリマー / タンパク質繊維素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細菌性ナノファイバータンパク質AtaAを一体化し糸にする技術基盤の開発、すなわち、AtaAの分子紡績の技術基盤の開発を目指している。研究初年度は、AtaA組換えタンパク質の末端に共有結合形成を促進するペプチド配列を導入し連結することで多量化することに取り組んだ。具体的には、西洋ワサビペルオキシダーゼによってタンパク質を架橋することのできるチロシンループ配列をAtaA組換えタンパク質のN末端とC末端に導入した。加えて、タンパク質の連結や修飾に汎用されるSpyCather/SpyTagをAtaA組換えタンパク質の末端に導入した。アフィニティ精製のみならず、熱耐性というAtaA固有の性質に着目した精製法を採用することで、どちらのタイプの組換えタンパク質も多量化実験の検討を行うのに十分な量を得ることができた。これらのAtaA組換えタンパク質を多量化する実験では、タンパク質同士が連結されていることを示唆するデータがSDS-PAGEや透過型電子顕微鏡観察により得られている。AtaA同士の連結反応は想定通りに成功したため、初年度の目標として掲げていた連結反応の課題抽出まで到達することができた。また、AtaAファイバー組換えタンパク質の力学特性解析については、原子間力顕微鏡を用いてタンパク質を引っ張って解析するための実験系の構築に取り組み、小型でシンプルな構造のものについては測定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標として掲げていたナノファイバータンパク質の連結反応の課題抽出まで到達することができているため、順調に進展していると考えている。加えて、申請時点では想定しなかった機構によるタンパク質連結も可能であることを示す予備的なデータも得られているため、概ね順調であると判断した。研究分担者との連携も円滑に行うことができ、それぞれの目標まで到達できていることも判断材料である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した共有結合形成によるAtaA組換えタンパク質の連結反応の検討を継続して実施する。ペプチド配列・融合タンパク質とAtaAを繋ぐリンカー配列の検討を行い、連結反応に影響が出るかなどを調べる。連結反応後の重合体の形状と物性を調べる手法について検討する。また、申請時点では想定していなかった機構でAtaAを連結できる可能性がでてきたので、これについても詳しく検討していく。そしてAtaAの分子紡績反応の最適化に向けた実験に着手する。研究代表者が研究実施機関を異動することになり、これまで使用できていた機器が使用できなくなったという問題点はあるが、異動先の共通機器で代用するなどの対応により、研究計画に遅れなく実施できるよう尽力する。
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