2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular spinning of nanofiber proteins
Project/Area Number |
21H01727
|
Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 聖人 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (70750602)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 克敏 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50302956)
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 教授 (50302766)
南畑 孝介 九州大学, 工学研究院, 助教 (90648586) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ナノファイバータンパク質 / タンパク質ポリマー / タンパク質性繊維素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細菌性ナノファイバータンパク質AtaAを一体化し糸にする技術基盤の開発、すなわち、AtaAの分子紡績の技術基盤の開発を目指している。2022年度は、初年度に実施した共有結合形成によるAtaA組換えタンパク質の連結反応の検討を継続して実施した。共有結合形成の起点となるペプチド配列・融合タンパクタグとAtaAを繋ぐリンカー配列の検討を行い、連結反応に影響が出るかなどを調べた。研究開始当初は、ペプチド配列としてはチロシンループ配列、融合タンパク質タグとしてはSpyCatcher/SpyTagを利用していたが、とある汎用タグを使ってもタンパク質を重合できる可能性を見出すことができた。このタンパク質タグを付加したAtaAファイバーをある方法で濃縮するとゲル化する現象が観察された。連結反応後のAtaAファイバー重合体の形状と物性を調べることを計画していたが、予期せぬ実験結果と研究環境の問題で実施することはできなかった。 論文発表としては、AtaAの宿主細菌であるAcinetobacter属細菌Tol 5株が、細胞増殖期依存的にAtaAファイバーを生産していることを明らかにした研究成果をJournal of Bioscience and Bioengineering誌に発表した。AtaAの接着機能ドメインを特定した研究成果をFrontiers in Bioengineering and Biotechnology誌に発表した。これらの成果はAtaAファイバーを組換えタンパク質として大腸菌発現させる際の重要な知見であり、ナノファイバータンパク質の分子紡績の研究推進に資する成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連結反応後のAtaAファイバー重合体の形状と物性を調べることを計画していたが、実施することができなかったため、このような自己判定をした。実施できなかった理由としては、申請時点では想定しなかった機構によるタンパク質連結が可能であることが見出され、それを検討していたこと、AtaAファイバータンパク質のゲル化という現象が観察されたことに起因する。当初の予定にはなかった項目ではあるが、新しい学理に結びつく可能性が示唆されたため、時間をかけて検討を行った。また、研究代表者の研究実施機関の異動と研究分担者の変更による環境の変化はわずかに影響したが、短期間で軌道修正することができたと考えている。次年度に遅れを取り戻す体制は整っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
共有結合形成によるAtaA組換えタンパク質の連結反応の検討に加え、偶然発見したゲル化現象についても詳しく解析する。繰り返し単位となるAtaA組換えタンパク質の種類、連結のためのペプチド配列・融合タグ配列の組合せ、濃度・温度・時間を変えて重合する。加えて、分子クラウディング剤の添加や、タンパク質濃縮方法による影響も検討する。連結反応後の重合体の形状を透過型・走査型電子顕微鏡を用いて解析し、重合体の物性を原子間力顕微鏡を用いて解析することで、ナノファイバータンパク質から繊維素材を作るための基礎的知見を蓄積していく。コロナ禍が沈静化に向かっている状況を踏まえて、各研究実施機関に研究実施者を一定期間派遣することにより、これまでよりも効率的な研究推進を計画している。
|