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2022 Fiscal Year Annual Research Report

ラマン分光と第一原理計算の連携による酸化物ナノシートの構造、物性、機能の解明

Research Project

Project/Area Number 21H01769
Research InstitutionNational Institute for Materials Science

Principal Investigator

谷口 貴章  国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (50583415)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 横井 裕之  熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 准教授 (50358305)
馬 仁志  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (90391218)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords酸化物ナノシート
Outline of Annual Research Achievements

ペロブスカイト酸化物ナノシートの構造を実験と第一原理計算により明らかにすることを目標に研究を推進した。実験においては、これまで可視吸収分光とラマン散乱を評価手法としていたが、ナノシートの電子状態をさらに評価するために、カソードルミネッセンスを用いた。カソードルミネッセンス評価にはナノシート薄膜に加えて、前駆体となるカリウム層状体、プロトン層状体、テトラブチルアミン層状体を用いた。得られたカソードルミネッセンススペクトルは層間状態により変化し、可視光領域に検出される2本のブロードなピークの相対強度、および中心波長の系統的な変化が見られた。発光の起源について明らかにはできていないが、ペロブスカイト構造中のNbO八面体の構造変化に対応すると解釈することができる。特に、剥離によりピークのブルーシフトが顕著にみられ、この結果から、ナノシートでは剥離によりバンドギャップが増大することが確かめられた。計算においては、実験で得られたラマン散乱スペクトルをある程度に再現することに成功しているが、バンドギャップの増大は見られていないため、計算に用いた構造モデルをさらに改良する必要があることが示唆された。また、実験の進捗としては、ナノシートの再凝集によるラマン散乱スペクトルの変化も観察された。これはナノシート間の相互作用、あるいは表面吸着種との相互作用により、ナノシート内部の構造が変化することを示唆しており、ペロブスカイト酸化物ナノシートの構造柔軟性を示す結果であると解釈することができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ペロブスカイト酸化物ナノシートを対象にラマン散乱実験、第一原理計算ともに進展させることができた。これらの技術知見は、目的である層状酸化物のナノシート化における構造変化の体系的理解にとって有益である。また、カソードルミネッセンスを使ったナノシートの電子状態評価を新たに採用することで、ナノシートと層状体の電子状態の違いを示すことができた点も目的達成に向けた進展である。再凝集によるラマン散乱の変化は、表面やナノシート間の相互作用が剥離後もナノシートの構造、及び電子状態に寄与することを示唆するものであり、物性制御や各種機能についてのメカニズム解明を進めるために重要な知見である。これらの進展と発見から、おおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

まず、第一原理計算においてバンドギャップの増大を再現できるペロブスカイト酸化物ナノシートの構造モデルを構築する。これまでの構造モデルでは計算を容易にするために、アンモニウムカチオンをナノシートのカウンターイオンとして配置していた。新たに検討する構造モデルでは、カウンターカチオンを合成実験で用いる剥離剤であるテトラメチルアンモニウムカチオンとすることで、どのようにナノシートの構造や電子状態が変化するかを明らかにする。また、ラマン散乱スペクトルの変化とバンドギャップの増大を理論的に再現することができれば、上記の構造モデルを酸化チタンナノシート等、別種の酸化物ナノシートに適用することで、ホスト構造が剥離によりどのように変化するかを体系的に理解する。実験では、その場ラマン散乱を用いて、温度や電位によりどのように構造が変化するかについての検討を行い、誘電体やレドックスキャパシタといった機能材料の創出に有益な知見を得るために研究を進める。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Revisiting the two-dimensional structure and reduction process of graphene oxide with in-plane X-ray diffraction2023

    • Author(s)
      Taniguchi Takaaki、Nurdiwijayanto Leanddas、Sakai Nobuyuki、Tsukagoshi Kazuhito、Sasaki Takayoshi、Tsugawa Tatsuki、Koinuma Michio、Hatakeyama Kazuto、Ida Shintaro
    • Journal Title

      Carbon

      Volume: 202 Pages: 26~35

    • DOI

      10.1016/j.carbon.2022.11.009

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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