2023 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光と第一原理計算の連携による酸化物ナノシートの構造、物性、機能の解明
Project/Area Number |
21H01769
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 貴章 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (50583415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 裕之 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 准教授 (50358305)
馬 仁志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (90391218)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 酸化物ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化物ナノシートのラマン測定実験と第一原理計算によるシミューレーションを引き続き実施した。ペロブスカイト酸化物ナノシートについては第一原理計算の構造モデルと実構造の整合性を高めるため、これまでの構造モデルに含まれる表面吸着種としたアンモニウムカチオンと水分子を、剥離に用いたテトラメチルアンモニウムカチオンに変更した。この新モデルから得られた安定化構造は、前モデル構造と原子配置においては大きな変化が見られなかったが、これまで再現できなかったナノシート化によるバンドギャップの増大を再現することができた。従って、バンドギャップの増大には層状体からナノシートへの剥離による量子効果だけではなく、表面吸着種との相互作用も寄与することが示唆された。ラマン散乱についても実験と理論計算で整合性が得られており、ペロブスカイト系酸化物ナノシート材料における剥離による構造緩和が実証された。一方、レピドクロサイト構造を有する酸化チタンナノシートでは、剥離による構造変化は顕著ではなく、構造中に大きなキャビティの存在するペロブスカイト構造が構造柔軟性の重要要因であることも明らかとなった。また、ペロブスカイト層の厚さが増加するにつれて構造緩和が抑制されることも示唆された。この結果は厚さの増加によりペロブスカイト骨格が剛直化され、表面の構造緩和の内部構造への影響が限定的になったことによると解釈できる。本研究において開拓したモデル化手法は酸化物ナノシート全般を含むソフト化学剥離により得られるナノシートについて広く応用できるため、今後、関連研究分野の発展に大きく貢献する技術的知見を得ることができた。
|
Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|