2021 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic understanding of fractal open microfluidics and its application to a new mechanism of oil/water separation
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21H01775
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
甲斐 洋行 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 助教 (00760167)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 開放型マイクロ流路 / 濡れ性 / 表面張力 / 空間充填木 / フラクタル / 自由表面流れ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
OpenFOAMソフトウェアを用いたvolume of fluid法による自由表面流れ解析によって、濡れ性パターニングを施した基板表面上における水滴の輸送挙動を検討した。計算量を削減するため、幅に勾配があり、分岐のない、単純な開放型マイクロ流路を用いた。流路の形状(幅の勾配・開き角)、液滴の粘度・密度・表面張力、基板の濡れ性(液滴の接触角)を様々に変化させて液滴の輸送速度を定量的に評価した。同一の開放型流路において、用いる液滴の表面張力が小さくなると液滴の輸送が劇的に遅くなることが明らかとなった。メッシュの分割方法によって計算結果が比較的敏感に変化することも判明しているため、定量的な妥当性については検証を進める必要があるが、少なくとも定性的にはメッシュの分割方法によらず同一の傾向が観察された。この知見は、今後低表面張力の液体(ヘキサデカンなど)のための開放型流路を開発する際の設計指針になると考えられる。
また、高表面張力の液体(水など)、低表面張力の液体それぞれに適用可能な開放型流路を作製するために、以前に用いていた酸化チタン/Capstone ST-100混合物への紫外光照射による超撥水・超親水パターニングとは異なる材料による、濡れ性パターニングと開放型流路の作製を検討した。自己組織化単分子膜(SAM)のマイクロコンタクトプリンティングや、紫外光を用いたリソグラフィーによる部位選択的なSAMの除去などを検討したが、液滴が輸送されるほどの十分な濡れ性のコントラストを得るには至らなかった。そこで、別の撥水・撥油材料として、トリクロロメチルシランの加水分解によって形成されるシリコーンナノフィラメント(SNF)およびフッ素化合物によるSNFのコーティングを検討し、低表面張力の液体に対する開放型流路の作製の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値流体力学を用いることで、液体の物性と開放型流路における液滴輸送の関係について理解できる可能性が示された。この知見は今後のフラクタル開放型流路の設計指針を与えるものである。濡れ性パターニングのための材料については検討を続ける必要があるが、以前に私達が用いていた材料とは異なる、シリコーンナノフィラメントによる撥水・撥油材料を用いた濡れ性パターニングと開放型流路への応用可能性を見出すことできた。したがって今後、さまざまな表面張力の液体に対して選択的に液滴を輸送・分離する開放型流路の検討を進められると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
高表面張力の液体(水など)、低表面張力の液体(ヘキサデカンなど)それぞれに対応した開放型流路の材料およびパターニング手法について、引き続き検討を進めていく。さらに、それぞれの液体に対する濡れ性を制御した開放型流路を実際に作製し、数値流体力学が示唆する結果との比較を行いながら、油水分離を可能とする流路設計の検討を進めていく。
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