2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical design of magnetic topological material by high-throughput magnetism/band engineering
Project/Area Number |
21H01789
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 通人 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10596547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 悠樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20785323)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | トポロジカル物質 / 磁性 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は第一原理計算によるトポロジカル物質の特異な縮退バンド構造と輸送現象に関する系統的な研究を実施し、ワイル磁性半金属として知られるCo3Sn2S2に対するInドープの効果と異常ホール・異常ネルンスト効果の解析、ディラック反強磁性体として知られるCuMnAsのスピンホール効果と磁場有起異常ホール効果の解析に関して、論文を出版している[Yanagi et al, Phys. Rev. B 103, 205112 (2021), Huyen et al., Phys. Rev. B 104, 035110 (2021)]。 Co3InxSn2-xS2の研究では、仮想結晶近似によるInドープ依存性の計算を行うことで実験結果を良く再現できることを示し、Inドープによるシフトに伴って異常ネルンスト効果をさらに増強することなどを提案している。反強磁性ディラック反強磁性体MnCuAsの研究では群論による高対称磁気構造の生成手法と第一原理計算から予測される安定な磁気構造が実験から決定されている磁気構造と一致することを示し、第一原理計算によるスピンホール効果の計算から、その反強磁性秩序における大きなスピンホール効果の発現を予測している。さらに、詳細な電子構造の解析から、その巨大スピンホール効果の発現が、フェルミ準位近傍のノーダルラインのスピン軌道相互作用による分裂から生じる寄与によって説明されることを示している。 また、本研究プロジェクトで活用する結晶対称性を活用した高対称磁気構造のスクリーニングシステムの基盤理論である、クラスター多極子法を有限伝搬ベクトルで特徴づけられるより広範な磁気構造を扱えるように拡張し、実際の磁性体に対する磁気構造と輸送現象の解析などを実施した上で、論文を執筆している(Yanagi et al., arXiv:2104.13704(2021))。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究でトポロジカル磁性体の電子構造と輸送現象について、第一原理計算による元素置換や外部磁場の効果を考慮した計算を実施し、代表的トポロジカル磁性体であるCo3Sn2S2とMnCuAsについて電子構造のトポロジーと輸送現象が化学組成や磁場によって受ける影響を調べており、輸送現象としても異常ネルンスト効果やスピンホール効果、磁場下の異常ホール効果など、研究対象を広げている。これらの研究を通して得られた知見を活用することで、今後の研究において、トポロジカル物質が環境変化によって受ける影響の系統的な研究を円滑に推進することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、元素置換や磁場の印加などを取り入れた計算を実施しており、環境変化に伴う電子構造の変化、及びそれによる輸送現象への影響を調べることが可能なことがわかっている。さらに、異常ネルンスト効果やスピンホール効果、さらに、外部磁場下の異常ホール効果など、多様な輸送現象を扱った研究を実施している。今後の研究ではこれらの知見を活用することで、トポロジカル磁性体の縮退構造と輸送現象の計算などを系統的に解析するための、ハイスループット第一原理計算による磁性体の解析システムの構築を目指す。
|