2022 Fiscal Year Annual Research Report
活性点立体構造と表面吸着種のオペランド複合計測による触媒反応機構の原子レベル解明
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21H01802
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高草木 達 北海道大学, 触媒科学研究所, 准教授 (30359484)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オペランド偏光全反射蛍光XAFS法 / オペランド偏光変調赤外反射分光法 / 複合表面計測 / 活性点三次元構造解析 / 表面吸着種解析 / 担持金属触媒 / 反応機構解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が開発したオペランド偏光全反射蛍光XAFS法に加え、オペランド偏光変調赤外反射分光法を新たに開発することで、超高真空から大気圧までの圧力領域で、触媒反応中の金属活性点の電子状態・立体構造、表面吸着種の計測を可能とする複合オペランド表面計測システムを確立することである。さらに本手法を、自動車排ガス浄化の基幹反応として重要な、酸化物担持Pt触媒上でのCO酸化反応に適用し、反応中のPt活性点の電子状態(XANES)と立体構造(EXAFS)、COの吸着状態(赤外分光)を評価し、反応機構と活性支配因子を解明する。 本年度は以下の2項目を実施した。 (1) 昨年度、Pt/Al2O3(0001)触媒表面上CO酸化反応において、温度に依存して活性化エネルギーが変化することを見出した。本年度はCO2生成速度のCO/O2の分圧依存性を測定することで、各活性化エネルギーの温度領域がどのように変化するかを調べた。その結果、活性化エネルギーが変化する温度がCO/O2分圧によってシフトし、さらに活性化エネルギーが異なる3つの温度領域があることが明らかになった。この結果は、CO吸着状態(完全被覆、部分被覆)やPt表面の酸化状態によって反応機構が変化していることを示唆している。 (2) オペランド偏光変調赤外反射分光法の開発に関して、昨年度テスト試料(金属基板上の勇有機薄膜)の真空中での計測に成功したが、本年度はセルを含めた光学系の最適化とガス存在下でのその場/オペランド測定の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オペランド偏光変調赤外反射分光計測用セルに取付けることを予定している、試料の真空搬送に必要な部品(ポンプ、バルブなど)や、ガス導入系に必要なマスフローコントローラー・圧力計の納期に大幅な遅れが生じている。原因はメーカーのシステム障害や世界的な半導体等の不足と流通の乱れによる。このため、偏光変調赤外反射分光のガス存在下でのその場/オペランド測定が実現できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) Pt/Al2O3(0001)触媒表面上CO酸化反応における温度に依存した活性化エネルギー変化に関して、オペランド偏光全反射蛍光XAFS法を適用し、Pt L3吸収端XANES測定からCOの吸着状態やPtの酸化状態について情報を得る。 (2) 偏光変調赤外反射分光計測に関して、ガス存在下でのその場/オペランド測定を早期に実現するため、代替部品・装置を手配するとともに、一部は自作することを検討している。 (3) 偏光変調赤外反射分光のその場/オペランド計測が実施可能になり次第、(1)についても検討を行う。
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Research Products
(15 results)